第33話 やっばり繋がってるんじゃん

屋敷の地下にあるダンジョンで感じたモヤモヤ感とダイヤモンドのダンジョンで感じたモヤモヤ感。


よく似ている気がする。


もしかしたら繋がってるんじゃって思い、これまで放置していたモヤモヤの先を探索する決心をしたんだ。


「やっばり、一致するな」


朝から執務室で何枚かの地図を見比べている。


向かって右側にはダイヤモンドダンジョンの地下30階層の地図。


左側にはこの屋敷の地下にあるダンジョンの各階層の地図。


そして真ん中にはこの街の地図。


「屋敷がここでダイヤモンドダンジョンの位置がここ。


ダイヤモンドダンジョンのモヤモヤ感があった壁がここだから、ここから直線を引くと、ほらやっばり屋敷に当たるよ。


それで、この角度に延びているのは……上から5番目の横穴だな。


とすると、一番上の横穴から延びている方向は…うんサファイアのダンジョンの方向だ。


次はエメラルドだな、そしてその次がアメジストで4番目がルビーだ。


全部それぞれのダンジョンの向きを向いてるじゃないか!


もしかしたら、この縦穴を通して全てのダンジョンが繋がってるんじゃないか?」


これまで全てのダンジョンは完全に独立していると考えていたが、この屋敷の地下で合流していた。


そして、それを隠すために魔力障害の結界で隠されていた。


そこには壮大な陰謀が………って、あくまで想像でしかなく、俺の妄想なんだけどね。


怖いもん知らずとはよく言ったもんで、もしかしたら大きな陰謀が…なんて頭の片隅に思ってるのに、どうしても調べてみたくなる。


探索途中でもあった上から5つ目の横穴の探索を始めることにした。


いつものように横穴に進入してサーチを掛けながら問題の壁に向かって碁盤目状の通路を進んで行く。


1つ目の壁を破壊して10メートル程の短い通路を進むと壁が現れた。


先日、一番上の横穴で諦めた場所と同じだ。


「ここからだな。よし行こう!」


剣を一閃。壁が2つに裂けて上側が滑り落ちる。


落ちた振動で下側も後ろにゆっくりと崩れ、壁のあった場所には、ぽっかりと通路が現れた。


サーチを通路に集中させるが、やはり何か妨害するモノがあるのか、よく見えない。


ライトの魔法を使っても、起動しない。


「やはり最後に頼りになるのは五感ということか」


覚悟を決めて中に入って行く。


暗いちゃ暗いが、目を凝らせば見えなくはないし、静かだから耳をすませば、水滴の落ちる音だって聞こえるようだ。


罠に気を付けながら、ゆっくりと足を踏み出して行く。


もし、本当にこの通路がダイヤモンドに向かっているのなら、移動距離はおよそ1キロメートル程のはずだ。


精神を集中し、五感を最大限に研ぎ澄ましたまま、どのくらい歩いただろう。


遂に行き止まりにあたる。


「ふぅーー」


ひと息ついて、気持ちを落ち着かせる。


「よし!」


気合いを入れて剣を抜き放ち、居合いの要領で下から斜め上に切り上げる。


すうーっと線が一本入って、壁が崩れ落ちる。


「もしここがダイヤモンドのダンジョン地下30階層だったら、サーチが使えるはずだな。サーチ!」


少しモヤモヤするが、少し奥に進むと、モヤモヤも取れて鮮明になった。


「やっばり、ダイヤモンドの地下30階層だ」


間違いない。地図を取り出してサーチの情報と突き合わせると間違いなくこの前来た場所だったのだ。


「あーあ、予感が当たっちゃったわ」


とりあえず戻るかな。


この前来た場所と分かってしまえば、長居する必要もない。


一旦執務室に戻って、もう一度整理しよう。


転移魔法を使おうかとも思ったけど、途中に魔法遮断の通路があったことを思い出して思い留まる。


もしかしたら、おかしなことになるかもしれないからね。


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