海底図書館

水中

第1話 

 


 海底図書館は、皆んなが寝静まった真夜中に開く。司書はクラゲ、館長はエビ、常連はサメ。来館する者の多くは物語無しに眠れない者。あとは読書家や話好きなどなど。色んな生き物が色んな理由で訪れる。


「どんな本をお探しで?」


司書のクラゲのもとに、今日は子連れのカニがやってきた。


「絵本を借りにきました。私の子供たちはファンタジーが大好きなんです。何か良い本はありませんか?」


「もちろん、ありますとも。児童書のコーナーはあちらです。案内しましょう」


クラゲはカニの親子を案内する。ふわふわゆらゆら。カニの親子は後ろをついていく。ハサミをちょきちょき鳴らしながら。


「ファンタジーでしたら、こんなのはどうでしょう?」


クラゲは本を一冊手にとってカニのお母さんに手渡した。


「勇敢なタコが海を冒険するお話です」


「まあ、おもしろそうね」


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海底図書館 水中 @_mu_2

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