未定
餅付最中
第1話
曇天下に少女が一人、路地裏の隅で身を起こした。
地面につきそうなほど長い黒髪は手入れもされておらずぼさぼさで、
所々破けている衣服からは褐色の肌が覗いている。
彼女は不思議そうに周りを、そして自分の体を眺めた。
ここはどこなんだろう。私は誰なんだろう。
彼女には記憶がなかった。過去の悉くが失われていた。
それでも華奢な足は立ち上がることを選んだ。
覚束ない足取りで進み始める。
いったいどこへ?
「分からない」
それでも
「行かなくちゃ」
アスファルトの冷たさを感じつつ路地裏から通りに出ようとしたその時、
背後の気配に振り返る。
そこにいたのは黒い不定形の塊だった。ソレは全長2mほどの大きさで
何をするでもなくただ、彼女を見つめているように思えた。
「...あなたは、」
ソレに声を掛ける。しかし、その言葉は遮られた。
彼女の唇に人差し指が立てられたからだ。いつの間に居たのだろうか。
指の持ち主は、彼女とは真逆な白髪で白い肌の少女であった。
それでも見た目に違いはなく、傍から見れば双子のように見える。
白い少女は彼女をじっと見つめるとあるものを手渡した。
それはコンパクトのようで、手に取った瞬間ソレが唸りを上げた。
さっきまでの静観から様子を変え、彼女に向って迫ってくる。
命の危機を感じるも、どうしようもできない。
白い少女はなおも平静を保っていた。そのまま彼女に渡したコンパクトに触れる。
すると、吸い込まれるように入っていった。
驚いて思わずコンパクトを開く、内部は複数のボタンで構成されていた。
ボタンの内の一つが黒色の光を放っている。
ソレは目前まで迫っている。塊から腕のようなものを出して、振り下ろす。
彼女は無意識にボタンを、押した。
[ゴースト、リンク]
無機質な声と共に彼女の周りに黒い霧が発生した。
霧はソレの攻撃を弾いた。
「...変身」
呟くと同時に霧が晴れていく。
彼女は黒いドレスを身に纏っていた。顔はヴェールに覆われていて見えない。
それは喪服のようにも感じられる。
「お別れの時間だ」
未定 餅付最中 @mochi0116
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