第34話 無能聖女の最終決戦
「ルシル!」
転移が完了するや、フィリップは両手を伸ばし、ルシルを腕の中へと囲い込んだ。
華奢な身体を抱きしめ、ルシルの身体へ防御用の術式を施していく。その間も、口は止まらない。
「何やってるんですか!? 俺1人で十分です!」
「それでも」
住みなれた部屋の中、フィリップによって高度な結界の術式が張り巡らされた、最後の檻の中で、ルシルは笑った。
「君を1人にしたくなかったんだ」
「……っルシル、あなたという人は」
ゆっくりと、フィリップは腕の力を抜いた。
静かに身体を離した2人に、甘い声がかけられる。
「あらあら、いつの間にかそんな仲になっていたなんて」
振り返った2人の目の前で、銀色の髪が揺れた。
ルフェリアは、美貌に完璧な微笑みを浮かべて口にする。
「私も嬉しいわ。ねえフィリップさん? あなたずっとルシルに片想いしていたんだもの。ルシル、こんな素敵な殿方に言い寄られているのに、まったく興味を示さないから、私心配していたのよ?」
「全く興味を示していなかったと思っていたのなら、天下の大聖女聖下の観察眼もそこまでのようだね」
「なかなか嬉しいことを言ってくれますね」
ふわりと、純白のローブが揺らぐ。
相変わらず悠然とした、ゆったりと立ち上がるその仕草に、ルフェリアの完璧な微笑みが深まった。
「ルフェリアで良いわよ。というか、さっきまでルフェリアと呼んでいたじゃない」
「もう失った地位で呼ぶことで、あえて現実を突きつけて差し上げようかと思ってね」
「もう、ルシルったら」
ルフェリアの手から放たれた凄まじい斬撃が、純白のローブの先をわずかに切り取った。なおも進撃を続ける魔法は、壁にぶつかり、吸い込まれるように消失する。
「なかなか素敵な壁ね。フィリップさん、あなたかしら?」
「どう思います?」
「あなただったらルシルを庇うために出てくると思ったのだけれど……全く動かないわね?」
「俺のルシルが、あの程度の攻撃を避けられないわけがないでしょう」
「あの程度、ねえ。ふふっ、自分の張った結界にそんなに自信があるのかしら? 巧妙に隠されてはいるようだけど、この私がルシルの身体に魔法の痕跡があることに気づかないと思った?」
「もとより、隠すつもりもありませんでしたよ」
その言葉に笑みを深めたルフェリアは、今度は一切の手加減のない攻撃を放った。
追尾魔法。どれだけ身体能力に優れていようと、消滅するまでは狙った相手を追い続けるという、位置系統と空間系統を組み合わせた術式だ。けれどその追尾性能に対して、威力は低く、簡単に魔法で相殺できるのがこの術式の弱点。
したがって、対人戦闘に使われることはごく稀であるのだが。
この場には、魔法の使えない人間が1人、いるわけで。
ありえない角度で軌道を変えた光線は、白いローブのちょうど中心を突き抜けた。
「……っ!」
「ルシル!?」
「あら、ルシル、こんなもの? いくら『無能聖女』といっても、魔術師相手の戦闘ではどうしようもないかしら?」
「ルフェリア!」
後ろから聞こえた声にルフェリアが振り向いた瞬間、その視界いっぱいに真紅の光線が広がった。
一瞬眉を顰めたルフェリアが、軽く手を振る。
跡形もなく消えた魔法の裏から現れた、激しい怒りを隠そうともせず歪んだ顔に、ルフェリアはくすくすと笑い声を漏らす。
「フィリップさん、あなたの魔力はこの程度だったかしら? 随分と手加減をしているようだけれど。……いえ、違うわね」
その黒い瞳が一瞬逸らされ、白いローブの切れ端を捉えたのを見て、ルフェリアは両手を打ち合わせる。
「魔力衝突の余波から逃れられない人がいるからね? こんな小さい部屋を選ぶからよ、私を誘い出すならもっと広い場所にすれば良かったのに、ねえルシル?」
歌うように言ったルフェリアは、襲いかかってくる魔法を軽く片手で捌きながら、壁際に崩れ落ちた人影へとゆっくりと歩み寄る。
「私に勝てると思ったの? わざわざ移動させてまで? 残念ね、ルシルの知っていた頃の私と今の私は、もう全然違うの。むしろ逃げる機会をくれて嬉しいわ」
「ルシル!!」
「外野は静かにしていてくださる? 私はルシルとお話しているの」
ルフェリアが振り返り、軽く視線を送る。
それだけで数本の光線が真っ直ぐに放たれたのを確認して、ルフェリアは再び視線を戻した。
「ねえルシル、知ってるかしら、聖女の魔力って本当に美味しいのよ? 身体中に力が漲って、ねえ?」
「……そうして人から奪った力に、何か価値があるとでも? 人を救うはずだった力で、お前は何をしている?」
「あはは、それが本性? ルシル、大丈夫? 恋人に見られてるわよ?」
「本当の自分を見たらどうだ? 大聖女の力もなく、聖女としてのあり方も失って、くだらない地位にしがみついているその醜さで大聖女を名乗っていたとは、笑えるね」
掠れた息の中で本当に立てられた笑い声に、ルフェリアの目がすうっと細まった。それと同時に数本の光線が力の入らない身体に突き刺さり、咳き込む音が部屋に響く。
「ルシル!? ルシル!」
絶えずルフェリアが飛ばし続けている光線のせいで、ルフェリアに近づくことは難しい。
それをよく理解しているルフェリアは、背後を全く意に介さず低い声で続けた。
「何も知らないくせに何が言えるのかしら? あなたはたくさんのものを持ってるわ。その頭脳も、恋人も、全部。何も持っていない、最初から最後まで偽物だった私とは違うのよ」
「お前がそれを語るな! 私から両親を奪ったお前が!」
叫び声と共に伸ばされた手を軽く交わし、その手の先で爆発した魔道具までもひと撫でで消滅させてみせたルフェリアは、落ち着きを取り戻した微笑みを浮かべた。
「ルシルのご両親? ユーフェミアはもちろん分かるけれど、お父上は――」
「お前!」
どこにそんな力が残っていたのか、という勢いで身体が跳ね起き、震える手が真っ直ぐにルフェリアの手へと伸ばされた。
ぐっと手首を締め付ける力に、ルフェリアは眉を寄せる。
「さすがの身体能力ね、『無能聖女』と呼ばれるだけ――っ!?」
ルフェリアの指先、薬指に嵌っていた真っ赤な指輪を爪がわずかに引っ掻いた瞬間、ルフェリアの表情が変わる。
「……なるほどね」
先程までの余裕げな微笑みは姿を消し、ルフェリアは懸命に指輪へと伸ばされる手を払いのける。
なおもしつこく伸ばされる指先から立ち上がって距離を取り、反対の手でその指輪を包み込んだ。
「そこまでお見通し、なのね。確かにそうね、力の殴り合いで敵わないのなら、力の源を潰すしかないわ。そして指輪を取り除くのは、私に魔法を命中させるよりずっと楽……だからフィリップは手を抜いて、私が油断してルシルに近づくのを待った、そういうことね? そう、だったら」
すっと、ルフェリアが真っ直ぐに手を伸ばした。
「遊びの時間はおしまい。ご両親に会えると良いわね?」
一切の手加減のない、部屋ごと吹き飛ばすような閃光。
「ルシル!」
微笑んで立つ1人と、壁際に崩れ落ちた1人。
白いローブを纏った二つの人影の間に、ぎりぎり滑り込んできた最後の一つの影を見て、ルフェリアは
「フィリップ!?」
「さすが、これくらいでは死なないわね。けれどどう、動けないんじゃないかしら?」
ゆっくりと、ルフェリアは部屋を見渡した。
散らかっていた部屋は、置かれていた物の半分以上が跡形もなく消し飛び、残った僅かな物も燻りながら鼻をつく匂いを振り撒いている。その惨状の中で傷ひとつついていない壁に、離れて寄りかかる人影が二つ。
ぐったりと壁にもたれかかり、ぴくりとも動かない2人の姿に、ルフェリアは勝利を確信した笑みを浮かべた。
「残念、今回は私の方が一枚上手だったようね? ねえルシル、どうして私がルシルから攻撃したと思うの?」
「……」
「ルシルはフィリップさんの抑制剤。あなたが生きている限り、あなたはフィリップさんの足手纏いで、フィリップさんはいつまでも本気を出せない。余波があなたに届かないか、あなたに危険が及ばないか、常に見ていなければいけないの。そんなルシルを、私がすぐに殺すと思った?」
「……そ、れは」
「分かるかしら、最初から私の狙いはあなたじゃない」
こつこつと、軽やかな足音を立てて、ルフェリアは部屋を歩く。
「フィリップさん、あなたよ」
時折物が崩れ落ちる音が響くだけの、静まり返った空間で、ルフェリアは鈴を転がすような笑い声を立てた。
「あなたなら、間違いなくルシルを庇うと思った。そしてそれが、防御魔法にも身体強化魔法にも長けたあなたに確実に攻撃を当てる、もっとも有効な手段」
もう一度、ルフェリアが手を上げた。
その指先に宿る光は、先程までのものとは比べ物にならない。まともに見たら数秒のうちに目を潰されそうな眩い光の中で、けれど一切表情を変えることなく、ルフェリアは言った。
「あなたの恋心と献身に神の恩寵を。大丈夫、すぐに一緒になれるわ」
膨れ上がった閃光が弾ける瞬間、
ルフェリアの
「――!?」
「いえ、俺たちの予想していた通り」
霞む視界の中、やっとのことで背後を振り返ったルフェリアは、驚愕に目を見開く。
「あなたの狙いは、最初から最後まで、ルシルでしたよ」「ルシル!」
転移が完了するや、フィリップは両手を伸ばし、ルシルを腕の中へと囲い込んだ。
華奢な身体を抱きしめ、ルシルの身体へ防御用の術式を施していく。その間も、口は止まらない。
「何やってるんですか!? 俺1人で十分です!」
「それでも」
住みなれた部屋の中、フィリップによって高度な結界の術式が張り巡らされた、最後の檻の中で、ルシルは笑った。
「君を1人にしたくなかったんだ」
「……っルシル、あなたという人は」
ゆっくりと、フィリップは腕の力を抜いた。
静かに身体を離した2人に、甘い声がかけられる。
「あらあら、いつの間にかそんな仲になっていたなんて」
振り返った2人の目の前で、銀色の髪が揺れた。
ルフェリアは、美貌に完璧な微笑みを浮かべて口にする。
「私も嬉しいわ。ねえフィリップさん? あなたずっとルシルに片想いしていたんだもの。ルシル、こんな素敵な殿方に言い寄られているのに、まったく興味を示さないから、私心配していたのよ?」
「全く興味を示していなかったと思っていたのなら、天下の大聖女聖下の観察眼もそこまでのようだね」
「なかなか嬉しいことを言ってくれますね」
ふわりと、純白のローブが揺らぐ。
相変わらず悠然とした、ゆったりと立ち上がるその仕草に、ルフェリアの完璧な微笑みが深まった。
「ルフェリアで良いわよ。というか、さっきまでルフェリアと呼んでいたじゃない」
「もう失った地位で呼ぶことで、あえて現実を突きつけて差し上げようかと思ってね」
「もう、ルシルったら」
ルフェリアの手から放たれた凄まじい斬撃が、純白のローブの先をわずかに切り取った。なおも進撃を続ける魔法は、壁にぶつかり、吸い込まれるように消失する。
「なかなか素敵な壁ね。フィリップさん、あなたかしら?」
「どう思います?」
「あなただったらルシルを庇うために出てくると思ったのだけれど……全く動かないわね?」
「俺のルシルが、あの程度の攻撃を避けられないわけがないでしょう」
「あの程度、ねえ。ふふっ、自分の張った結界にそんなに自信があるのかしら? 巧妙に隠されてはいるようだけど、この私がルシルの身体に魔法の痕跡があることに気づかないと思った?」
「もとより、隠すつもりもありませんでしたよ」
その言葉に笑みを深めたルフェリアは、今度は一切の手加減のない攻撃を放った。
追尾魔法。どれだけ身体能力に優れていようと、消滅するまでは狙った相手を追い続けるという、位置系統と空間系統を組み合わせた術式だ。けれどその追尾性能に対して、威力は低く、簡単に魔法で相殺できるのがこの術式の弱点。
したがって、対人戦闘に使われることはごく稀であるのだが。
この場には、魔法の使えない人間が1人、いるわけで。
ありえない角度で軌道を変えた光線は、白いローブのちょうど中心を突き抜けた。
「……っ!」
「ルシル!?」
「あら、ルシル、こんなもの? いくら『無能聖女』といっても、魔術師相手の戦闘ではどうしようもないかしら?」
「ルフェリア!」
後ろから聞こえた声にルフェリアが振り向いた瞬間、その視界いっぱいに真紅の光線が広がった。
一瞬眉を顰めたルフェリアが、軽く手を振る。
跡形もなく消えた魔法の裏から現れた、激しい怒りを隠そうともせず歪んだ顔に、ルフェリアはくすくすと笑い声を漏らす。
「フィリップさん、あなたの魔力はこの程度だったかしら? 随分と手加減をしているようだけれど。……いえ、違うわね」
その黒い瞳が一瞬逸らされ、白いローブの切れ端を捉えたのを見て、ルフェリアは両手を打ち合わせる。
「魔力衝突の余波から逃れられない人がいるからね? こんな小さい部屋を選ぶからよ、私を誘い出すならもっと広い場所にすれば良かったのに、ねえルシル?」
歌うように言ったルフェリアは、襲いかかってくる魔法を軽く片手で捌きながら、壁際に崩れ落ちた人影へとゆっくりと歩み寄る。
「私に勝てると思ったの? わざわざ移動させてまで? 残念ね、ルシルの知っていた頃の私と今の私は、もう全然違うの。むしろ逃げる機会をくれて嬉しいわ」
「ルシル!!」
「外野は静かにしていてくださる? 私はルシルとお話しているの」
ルフェリアが振り返り、軽く視線を送る。
それだけで数本の光線が真っ直ぐに放たれたのを確認して、ルフェリアは再び視線を戻した。
「ねえルシル、知ってるかしら、聖女の魔力って本当に美味しいのよ? 身体中に力が漲って、ねえ?」
「……そうして人から奪った力に、何か価値があるとでも? 人を救うはずだった力で、お前は何をしている?」
「あはは、それが本性? ルシル、大丈夫? 恋人に見られてるわよ?」
「本当の自分を見たらどうだ? 大聖女の力もなく、聖女としてのあり方も失って、くだらない地位にしがみついているその醜さで大聖女を名乗っていたとは、笑えるね」
掠れた息の中で本当に立てられた笑い声に、ルフェリアの目がすうっと細まった。それと同時に数本の光線が力の入らない身体に突き刺さり、咳き込む音が部屋に響く。
「ルシル!? ルシル!」
絶えずルフェリアが飛ばし続けている光線のせいで、ルフェリアに近づくことは難しい。
それをよく理解しているルフェリアは、背後を全く意に介さず低い声で続けた。
「何も知らないくせに何が言えるのかしら? あなたはたくさんのものを持ってるわ。その頭脳も、恋人も、全部。何も持っていない、最初から最後まで偽物だった私とは違うのよ」
「お前がそれを語るな! 私から両親を奪ったお前が!」
叫び声と共に伸ばされた手を軽く交わし、その手の先で爆発した魔道具までもひと撫でで消滅させてみせたルフェリアは、落ち着きを取り戻した微笑みを浮かべた。
「ルシルのご両親? ユーフェミアはもちろん分かるけれど、お父上は――」
「お前!」
どこにそんな力が残っていたのか、という勢いで身体が跳ね起き、震える手が真っ直ぐにルフェリアの手へと伸ばされた。
ぐっと手首を締め付ける力に、ルフェリアは眉を寄せる。
「さすがの身体能力ね、『無能聖女』と呼ばれるだけ――っ!?」
ルフェリアの指先、薬指に嵌っていた真っ赤な指輪を爪がわずかに引っ掻いた瞬間、ルフェリアの表情が変わる。
「……なるほどね」
先程までの余裕げな微笑みは姿を消し、ルフェリアは懸命に指輪へと伸ばされる手を払いのける。
なおもしつこく伸ばされる指先から立ち上がって距離を取り、反対の手でその指輪を包み込んだ。
「そこまでお見通し、なのね。確かにそうね、力の殴り合いで敵わないのなら、力の源を潰すしかないわ。そして指輪を取り除くのは、私に魔法を命中させるよりずっと楽……だからフィリップは手を抜いて、私が油断してルシルに近づくのを待った、そういうことね? そう、だったら」
すっと、ルフェリアが真っ直ぐに手を伸ばした。
「遊びの時間はおしまい。ご両親に会えると良いわね?」
一切の手加減のない、部屋ごと吹き飛ばすような閃光。
「ルシル!」
微笑んで立つ1人と、壁際に崩れ落ちた1人。
白いローブを纏った二つの人影の間に、ぎりぎり滑り込んできた最後の一つの影を見て、ルフェリアは
「フィリップ!?」
「さすが、これくらいでは死なないわね。けれどどう、動けないんじゃないかしら?」
ゆっくりと、ルフェリアは部屋を見渡した。
散らかっていた部屋は、置かれていた物の半分以上が跡形もなく消し飛び、残った僅かな物も燻りながら鼻をつく匂いを振り撒いている。その惨状の中で傷ひとつついていない壁に、離れて寄りかかる人影が二つ。
ぐったりと壁にもたれかかり、ぴくりとも動かない2人の姿に、ルフェリアは勝利を確信した笑みを浮かべた。
「残念、今回は私の方が一枚上手だったようね? ねえルシル、どうして私がルシルから攻撃したと思うの?」
「……」
「ルシルはフィリップさんの抑制剤。あなたが生きている限り、あなたはフィリップさんの足手纏いで、フィリップさんはいつまでも本気を出せない。余波があなたに届かないか、あなたに危険が及ばないか、常に見ていなければいけないの。そんなルシルを、私がすぐに殺すと思った?」
「……そ、れは」
「分かるかしら、最初から私の狙いはあなたじゃない」
こつこつと、軽やかな足音を立てて、ルフェリアは部屋を歩く。
「フィリップさん、あなたよ」
時折物が崩れ落ちる音が響くだけの、静まり返った空間で、ルフェリアは鈴を転がすような笑い声を立てた。
「あなたなら、間違いなくルシルを庇うと思った。そしてそれが、防御魔法にも身体強化魔法にも長けたあなたに確実に攻撃を当てる、もっとも有効な手段」
もう一度、ルフェリアが手を上げた。
その指先に宿る光は、先程までのものとは比べ物にならない。まともに見たら数秒のうちに目を潰されそうな眩い光の中で、けれど一切表情を変えることなく、ルフェリアは言った。
「あなたの恋心と献身に神の恩寵を。大丈夫、すぐに一緒になれるわ」
膨れ上がった閃光が弾ける瞬間、
ルフェリアの
「――!?」
「いえ、俺たちの予想していた通り」
霞む視界の中、やっとのことで背後を振り返ったルフェリアは、驚愕に目を見開く。
「あなたの狙いは、最初から最後まで、ルシルでしたよ」
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