第30話

多分、普通の状況だったら、俺は犯罪者と鳴っていた。

いたいけな女子高生に手をだしてしまった。

同い年くらいの人間といえど、それはマズイ。だがそれは普通の状況かでだ。

俺は強く葛道を抱き締めた。

「ちょっと、こんな状況で何するの!」

さすがの葛道も怒っていた。

だが策はこうするしか策はない。

俺は思わず叫んだ。

「飛ぶぞ」

「えっ!」

俺はそう言い、思いっきり、彼女を抱きかかえると橋の柵に向かい、走った。

走り出すと同時に、彼女の見えないバリアが

破られ、光が此方向かって進んできた。

其れを横目でとらえていたが、俺はもう既に、柵にもたれかかり、そのまま、川のほうへと身体を逆さまに、身をなげていた。

一瞬で川へと落ちていきながら、強烈な光が、何かに辺り、爆発するのを目にしたかと思った瞬間、俺は水の中へと沈んだ。

そのまま、俺はまとわりつく、水をかきわけ、水面に顔をだす。

意外と、川は深いみたいで、足が届かない。

衣服が水を吸って重りのようになり、自由に

動けない。

このままではまずいと思いながら、必死で川の岸へと泳ごうとする。

俺は泳ぎながら、葛道の姿をさがす。

「おい!」

俺は必死で足をばたつかせ顔をだし、叫び、葛道をさがす。

周りを見渡してみても姿はない。

俺は不安になりかけたが、葛道は水の中から勢い良く顔をだした。

「葛道!」

俺は思わず、声を上げて、叫んだ。

彼女は、俺の方をむくと、泳ぎながら、俺の口元を抑えた。

「しっ」

口元に手を当てられた俺は急なことすぎて、驚いて彼女の顔を呆けた状態で見ていた。

「はやく、岸に上がるよ」

葛道は、静かに言うと泳ぎ始めた。

俺は口にチャックをし、黙って泳いだ。

岸に着き、なんとか水のなかから上がる。

まわりには背の高い草木が生い茂り、なかなか進むのには大変そうだった。

葛道は姿勢を低くし、橋の上を気にしていた。「葛道」

「静かにして、身を低くして」

おれは 彼女のいうことに従い、身を低くくし、橋の上を見る。

「奴がまだ橋の上にいる」

葛道が短く、静かに答えると俺は上の橋を見上げる。

橋の手すりに掴まり、カウボーイが此方の方を見ていた。

しかし、諦めたのか身を翻し姿を消した。

すぐに立つことはせず、そのまま、ジッとしていた。

葛道は何かに、耳を立てながら橋の方をみていた。

何秒かたち、葛道は肩をなで下ろした。

「あのカウボーイは言ったみたい」

バイクの排気音が消えたと葛道は言った。

「よかった……」

俺は安心し、地面に座り込んだ。

「このやりくちはいけ好かない」

葛道は俺の方を無表情で俺を見ていた。

「ど、どうした」

「助かった。ありがとう」

「い、いや、俺は何も……」

「ただこのやり方は嫌」

葛道は両手を広げて、言った。

彼女の制服は濡れ、制服、およびワイシャツの下がすけ、下着が見えていた。

「ご、ごめん」

俺は思わず、目をそむけて言った。

「別に良いけど。スマホが壊れたのは許せないかも」

彼女はスマホを手にし、電源ボタンを押して何度も立ち上げようとしていた。

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