77日目「集合論での指数法則」

指数法則は集合論においても成り立つということを紹介する。まず、集合の冪乗を次のように定義する。


集合の冪乗

A, Xを集合とする。A^XをXからAの写像全ての集合と定義する。


そして、集合論の指数法則は次のように書けそうであると期待できる。


予想

A^(X+Y)=A^X×A^Y

(A^X)^Y=A^(X×Y)


そしてこの予想は次のような意味で正しい。

次のような記法を導入する。

集合の非交和

X∩Y=Øの時、X+Y=X∪Yと定義する。


集合論の指数法則

X∩Y=Øとする。この時、次の事実が成り立つ。

全単射写像φ: A^X×A^Y→A^(X+Y)が存在する。

全単射写像ψ: (A^X)^Y→A^(Y×X)が存在する。

[証明]

具体的にφ、ψの構成を与える。A, X, Y≠Øとする。これ以外の場合は簡単に示せるためである。

まずはφの構成を与えよう。

写像f: X→A, g: Y→Aに対して、次のような写像を構成する:h=f if t∈X, h=g if t∈Y

このように構成した写像hはX+Y→Aとなっている。さて、φをφ(f, g)=hとなるような写像とする。これが目的のものになっているのか確認しよう。

(1)φは全射である。

あるc: X+Y→Aがあるとする。この時、あるf, gが存在して、φ(f, g)=cとなることを示そう。

fをcのXへの制限とし、gをcのYへの制限とすれば、φ(f, g)=cである。

(2)φは単射である。

φ(f, g)=φ(f', g')であれば、(f, g)=(f', g')⇄f=f'∧g=g'であることを示そう。

t∈Xにおいて、φ(f, g)=φ(f', g')であるので、写像の等号の定義によって、f=f'が成り立つ。

t∈Yでも同様の議論により、g=g'が成り立つ。よって、示せた。


ψの構成を与える。f: Y→A^Xからg: Y×X→Aを構成する。f(y)は定義よりf(y): X→Aという写像になっている。よって、g=f(y)(x)という写像を与えられる。これはY×X→Aの写像である。ψ(f)=f(y)(x)という写像を定めると、これは全単射である。これを示そう。

(i)全射性

f(y, x)に対して、yを固定してやると、f(y)(・)という写像が得られる。よって、全射。

(ii)単射性

f(y, x)=f'(y, x)であるとする。yを固定してやると、f(y), f'(y)は写像として等しいことがわかる。yを動かすと、f=f'がわかるので、単射性がわかった◽︎






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