69日目「集合の冪乗を組み合わせ論から見る」

X, Yを集合とする。この時、X^Yはどのような集合になるだろうか。

なんとなく、有限の集合で次のような関係が成り立ってほしい気がする。


濃度に関する成り立ってほしいこと

|X^Y|=|X|^|Y|


さて、集合X, Yが与えられて、そこから自然に|X|^|Y|の濃度をもつ集合を作れるだろうか。これは組み合わせ論から分かるように次のような構成をすれば良いだろう。


組み合わせ論の事実

X={1, 2, 3, ......, m}, Y={1, 2, 3, ......, n}とする。この時、Yの方の集合からXの方の集合までの全ての写像の個数は、m^n個。

[証明]

1, 2, 3, 4, ......, nを番号とする。この下にXの元を重複を許して配置していく。1の下に来るのは|X|個パターンがあり、2の下には|X|個、3の下にも......というように数えていくと、積の法則によって、この重複を許した配置は|X|^|Y|通り存在する。

さて、この配置の仕方をYからXの写像だと思えば、集合P={p:Y→X}と配置は一対一対応をする◽︎


つまり、一般の集合X, Yに対するX^Yも次のように構成してやれば良い。

X^Y={p⊂Y×X|∀y∈Y∃!x∈X(y, x)∈p}

写像の定義がY×Xの部分集合になっているが良いのだろうか、と考えた人もいるだろうが、実際には写像というのは始域と終域の直積の部分集合として定義されるのだから問題ないのである。


この定義の仕方は実に数学らしい。X^Yを定義するために有限集合X, YからX^Yがどのように作れるかを論じて、さらにそれを抽象的な視点から眺め、それによって、一般的な集合X, YにもX^Yを定めた。定義→同一視→より一般的な定義、という流れは数学の根底を流れる大河のようなものなのである。


さらに組み合わせ論的なところから次のような集合も定義できそうだ。

・X!という集合はXからXの全単射を集めた集合

・XPYという集合はYからXの単射の集合

・XCYという集合はXPYに同値関係~をp~q⇄p(Y)=q(Y)として定義したときに、XPY/~とした商集合


XPYの定義からYからXへの全射の集合もどのようになるのかがわからないが定義できそうである。

また、次のようなことが成り立つ。

Ø!={Ø}

XCØ={Ø}

XPØ={Ø}









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