第39話 ダイタンな佐々木
「──だからッ!」
珍しく声を荒らげるが佐々木の声はZwei上層部には届かない。
ただただ響いて、周りに引かれて、間もなく消える。そして騒音の様に迷惑顔。「クソ会社!」…と罵りたくもなるが。佐々木の理性がそれを止める。
会議室から自分のデスクに戻って来た佐々木は正直ずっとイライラしている。上の
そう何度プレゼンしても、既に会社としては戦力外の見方だった 。「炎上はZweiトップ」「新人のくせに」「そもそも誰?」……と散々な感じだ。
その為、天月カグレにはこれから必要最低限な援助しかされず、佐々木自身にも新たなタレントが付きそうになった。取り敢えずその話は保留になっているが時間の問題のようだ。
今更、天月カグレと他のタレントを見る?ふざけんな。無理に決まってるだろうが?今現在、天月カグレの後始末で佐々木の仕事量は2倍程に膨れ上がっていた。そんな中新たに仕事をぶち込まれるなんてブラックにも程がある。
「はぁ……」
ため息ひとつで気持ちをリセット(したつもり)。タバコをじっくり吸う時間もありはしない。
「──ねぇ佐々木~?最近休んでるの?ずっと会社にいるイメージがあるんだけど?」
すると、同期の藤原がヨレヨレになりながら声を掛けてきた。
「大丈夫とは言えないわね。まぁ、それを見てるそっちも中々でしょ?」
同期の藤原は同じ人事部からの仲で、同じ時期にVTuberのタレントのマネージャーになり、藤原自身も色々と振り回されているようだ。
新人VTuberこそ担当はしていないのだが、藤原はその分見ている数が多い。その為、物理的に大変なようだ。更にはイラストレーター関係の仕事もしているとか何とか……
ぶっちゃけ互いに脳死。適当に言葉を並べ、疲労をただただ分かち合う。それで仕事量が減る訳では無い。だが言うだけで気持ちは楽になるのだ。
しばらくの雑談の後、互いに気持ちを仕事へ切替える。
「──まぁ、頑張ろっか。そーしたら、そのうち何とかなるでしょ」
デスクチェアに全体重を預け、冷えピタを貼りながら藤原は言う。話の途中にエレルギードリンクをチャージしていたので、もうひと踏ん張りの構えのようだ。
「そうね、じゃ。藤原は頑張りなさいね、私はこれからまた行ってくるから」
「ん?どっかいくん?帰るん?」
「いいえ。ただ、なんかもう面倒くさいので、直接直談判して来ます!そして仕事を取ってきます!」
「
割と引き気味な藤原を横目に佐々木はゆるりと立ち上がる。
「別にとやかくは言いたく無いけど、あんまり肩入れするとプレッシャーで
「……えぇ。それは大丈夫よ。自分でも肩入れし過ぎって分かってるし、ライン取りは心掛けてるつもり。ただ今はイラついてるからそのラインを一定時間踏み越えるだけ!」
「あはは、矛盾し過ぎw
でも、それぐらい魅力的なんだね、佐々木がそんなにも推すぐらいだもんね」
「えぇ、最推し…よ」
そうして……
「──どうかその大型箱企画に、天月カグレを参加させてもらう事は可能でしょうか!?」
佐々木は佐々木なりに動き始めていた。
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