第44話 中原秋也から見た白金颯~中原秋也side~
俺の親友は天才だ。
勉強、スポーツ、武道全てにおいて一級品だが自分の目的のために中学生活を青春ではなく仕事に充てるような奴だった。
中学の頃には数々の伝説を残した。
一年の頃は陽キャの中心でありながら陰キャと呼ばれていたやつまで分け隔てなく取り込みクラスを結束させた。
同学年でも他学年でも苛めを見つければ白金グループの力を存分に使い苛めを行っていた生徒を改心させていった。
その風潮は中高一貫の高校にも伝わり高校でも苛めが無くなったらしい。
中学2年で社長になり会社を大きくして白金グループに貢献した。
レールから外れた人生を歩めるようになったと笑ったあいつの顔は素直にイケメンだと思った。
颯はその勢いのまま生徒会長になり様々な改革を成し遂げていった。
その隣には何故か俺が居たのだが自分でも理由がわからなかった。
彼曰く俺が日常の要と言っていたが今もその真意はわからない。
そもそも俺は苛めから救われた中の一人だった。
望んでこの見た目を手に入れたわけじゃないのに告白をされるのはうざったかった。誰も俺の内面を見ようとせず一目ぼれでしたの一言で告白してくる。
だから一年の頃から振り続けた。結果男子生徒から疎まれた。
曰く好きになった人の好きな人が俺だったというやつらの標的にされたらしい。
次第に部活も怠くなり一年にして幽霊部員となっていた。
そんな俺に体育館の衆人観衆の元バスケで勝負を挑んできたのが颯だった。
颯の動きはやばかった。俺は初めて本気でプレーしてなんとか勝った。
観衆は俺たちのプレーを見て黙った。
その時の演説は凄かった。俺がどれだけの逸材かを説明し見た目で人を判断する愚かさを熱弁し文句があれば自分に言えと声を大にして演説した。圧倒的なカリスマ性が中1の彼から滲み出ていた。
俺の方を振り向いた颯は
「今日から俺たちは親友だ。俺の隣でお前の内面を教えてほしい。」
そう言って手を差し伸べてきた。
俺は中学に入って初めて泣いたと思う。初めて内面を知りたいと言ってくる人に出会えたから。俺は泣きながらその手を取った。
そんな彼の周りにもやはりというかウジ虫のような女性が群がっていた。
やつらは光を啄もうとする害虫でしかなかった。
颯は切って捨てていたが生涯独身でいいと言うくらいには女性には絶望していた。
そんな中で颯が出会ったのは柊白雪さんだった。
彼女が颯に向ける眼は颯が俺に向ける内面を見ようとする目に似ていた。
彼女はもしかしたら颯を理解して支えられる唯一の女性になるかもしれないと俺は思う。恐らくこの婚約が破談になれば生涯独身待った無しだろう。柊さんには頑張ってもらいたい。
俺にも一応出会いが会った。
有原香織さん。さっき彼女に言われたことはなかなか衝撃だった。
「私最初は一目ぼれでした。けどまだ数日しか一緒に居ないのに内面を知りたいと思ってます。だから暫く隣に居させてください。色々貴方の事を教えてください。今すぐは無理ですが長期スパンで貴方を堕として見せます!」
類は友を呼ぶという言葉が本当なんだと俺は思った。
俺も彼女をもっと知っていこう。よそ見せずに彼女を見ていこうと思っている。
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