第41話 夕飯後の仕事タイム

夕飯に鍋を頂いた後俺は皆に断りを入れて仕事場でメールチェックと進捗管理を行っていた。

ふと気づくとパソコン横にコーヒーが置かれており、

振り返ると白雪がソファで本を読んでいる姿が目に入る。

「ありがとう」と声をかけるとこちらに微笑みを返してくれた。

こういう気遣いができるのがこの子の美点だと思う。

俺はさらに集中して仕事に取り組んだ。

ひと段落付き伸びをするとあれから一時間半もたっていたことに気付いた。

視界の端に入ってきたコーヒーに手を伸ばす。

入れてもらったのに残すのは申し訳ない。

手を伸ばしてからコップが変わっていることに気づく。

コーヒーからは湯気が上がっている。

後ろに目を向けると白雪はまだ本を読んでいて視線に気づいてこちらに微笑みを向けてくれた。

視線をずらすと彼女のテーブルの上には先ほど飲みかけだったであろうコーヒーカップが置かれているのが見えた。

俺は苦笑しながら白雪の隣に座る。

「颯くん?」

俺を呼ぶ声が聞こえたので無言で腕を広げると彼女は察したようで嬉しそうに俺の腕の中に飛び込んできた。

婚約指輪が届き次第正式に交際を申し込もうとまた思った。

そのままノックの音がするまで時間を忘れて彼女を撫で続けた。


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