第18話 帰宅とお父様との電話~白雪side~
「只今帰りました。」
私が家に入るとお母さまが出てきました。
「お帰りなさい白雪。あらなんだか嬉しそうね。良い事でもあったかしら?」
流石お母さま。鋭いです。たまにエスパーかと思う時があります。
「お母さま。私は恋を知りました。必ず成就させたいのです。協力して頂けますか?」
お母さまは驚いたように目を開きました。初めて見る表情でした。
「お相手の方は?」
「白銀グループの一人息子。白銀颯さんです。」
お母さまはまた目を見開き驚いたような、困ったような顔を見せて小さくため息を吐きました。
「協力してあげたいけれど相手が大きすぎるわね。少し待っていなさい。」
お母さまは自室に戻ってしまいました。
確かに相手は白銀グループの一人息子。
すんなりいくとは思っていません。
ですが例えお父様に反対されてもこの気持ちを諦める気はありません。
暫く待っていると携帯が鳴りました。お父様からの電話でした。
向こうからかかってくることは初めてです。不退転の覚悟で電話に出ました。
「はい。もしもし。お父様。白雪です。」
「いつもより強い声色。よほどの覚悟があると見えるな。本気なのか白雪?」
「はい。本気です。」
「そうか。向こうの父親と連絡を取った。『高校3年間のどこかで家の息子を堕とせるなら認めよう』だそうだ。」
「本当ですか!?必ず堕として見せます!」
「キャラが変わっているぞ白雪。恋する乙女は強いというやつか。条件として私たちは手を貸さないが付き合った際は全てを認めよう。」
「有難うございます。」
「母さんに礼を言っておけ。最初何かの冗談かと思ってしまったからな。」
「わかりました。」
「では体に気をつけて頑張りなさい。」
「はい。失礼致します」
電話が終わっても私は興奮していました。
ですが冷静に頭を回します。
私が彼を堕とすには私の有用性を彼に示すしかありません。
彼の女性嫌いはお金に群がる姿に嫌悪を示したという事でした。
であれば私は寄生虫になるわけにはいきません。
私が出来ることは花嫁修業によって培った家事スキル。
学校の成績は常に1位ですが全国模試では彼に次いでずっと2位。
そういえば彼は一人暮らしをするという話でした。
ならば出来ることはこれでしょう。
私はお母さまに礼をしてお父様とお母様に一つの許可を得てから自室に戻るのでした。
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