第7話 ヒロインたちの救出

「颯。まずどこから見て回るんだ?」


「文房具類からが妥当だろ。その後はまぁ適当にぶらぶらして昼飯食ったらボーリングで。」


「いいね!あっバッシュも見ていいか!?」


「あぁ。付き合うよ。」


話しながらそういえばこいつはこいつはバスケがとんでもなくうまい設定だったなと思いだした。こいつがバスケ部だからヒロイン二人はバスケ部のマネージャーになるんだよね。


「おい、颯!あれ見ろよ!美女二人がナンパされてる!」


来たと思ってそちらを見る。

確かにかなりの美女二人がナンパされている。

この場所でナンパとはふざけた野郎だ。

何せここは白銀グループが経営している。

俺には好き勝手やれる理由がある。


「みたいだな。困っているようだし助けてやるか・・・」


「お前女嫌いなのにそういうとこはホント紳士だよな。」


致し方ない。

自分にできる事はやる男だ。

そういう風にデザインしたし、だからこそ生徒からの支持を得られるのだ。


「ほっとけ。俺が女嫌いなのは名前と顔と金によって来る女が多すぎるからだ。それより助けた後はお前がうまくやるんだから考えとけよ。」


二人の相手は当然主人公だ。

あくまでも出会いのアシスト。

二人が傷つく前に助け出して、イケメンスマイルから始まる本編スタートだ。

そんなことを話しながら近づいて行くと会話が聞こえてきた。


「しつこい!私たち人を待っているんです!さっさと消えてください!」


メインヒロインの一人である茶髪のボブの女の子の声が男たちに罵声を浴びせる。


「はぁ!?ちょっとかわいいからって下手に出てやれば調子に乗りやがって!ほら、こっちにこい!」


少女の言葉に逆上した男が手を伸ばすが、その間に割り込み手を掴んで捻り上げる。


「いてぇ!てめぇ何しやが・・・ってお前は白銀颯!?」


誰だこいつ。転生前の記憶にも照合無し。まぁ白銀は有名だから知られてるのかな?

兎にも角にも好き勝手やらせるのはここまでだ。

ここから先はラブコメのご都合主義の世界だ。


「君とは初対面だと思うが、俺を知っているなら話は早い。この子たちは俺の連れだから。手を出したらこの施設を永久出禁にした上で嚙み殺すぞ?」


睨みを効かせる。

その脅しはこれ以上なく有用だ。

ラオンは全国区で、至る所に店がある。

そのすべての店で出禁ともなれば生活できなくなる恐れもある。


「あなたのお連れ様とは知らなかったんです!すいませんでしたぁ!」


こうしてナンパ男二人は走り去っていった。

小者すぎんか?と思うが、ただそれだけの役割なのだから当然かと納得する。


「相変わらずのイケメンムーブだねぇ」


見なくてもにやけ顔をしているのがわかる親友の声が聞こえて振り返る。


「うるさい。お前には顔面偏差値でダブルスコアの敗退してるから。」


「そこまでじゃないだろ!お前も普通にイケメンでモテてるだろ。」


「あっ・・・あの!」


そんなやりとりをしていると後ろから声がかからそちらに振り返る。

二人のヒロインと目があった。

俺は頭を振ると秋也の陰に隠れようと歩き出すと手を握られる。

こんな展開は本編には無かったはずだ。

だが無視も良くないのでしかたなく振り返るのだった。

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