第28話 宰相さん再び
宿屋を後にした私と勇者はとある屋敷に向かった。
「ここは…この間来た宰相の屋敷だな?」
「そうだ。黒幕と会う前に片付けなくてはいけない問題があるだろ?」
ふむ。
「ライアンのことか?あれはここの王子であろう?」
良くできました とばかりに頭を撫でられる。ヤメロ!
「王妃を数年前から見ない。たぶん詳細は宰相がしっているだろうな。」
「これはこれは!ようこそいらっしゃいました!ささ、どうぞ中へ。」
汗を拭いながら、宰相のレジデントが出迎える。
なんか運動でもしてたのか?良いな、健康には体を動かすのが一番だ。
「先に知らせた通り、王子殿下と王妃について聞きたいことがある」
おいこら勇者、なんだか偉そうな態度だぞ。
「…お健やかにお過ごしでしたでしょうか?」
「はっ!?あれをお健やかだと!!」
「アビ、魔力を押さえて。只の人間には酷だよ。」
怒りで思わず熱くなってしまった。
「も、申し訳ございません!」宰相さんが青くなってる。
「ライアンは見つけた時には瀕死の状態だった。原因は体に無理矢理埋められた魔核のせいだ。あんなもの子供に埋めるなど、外道以下の行いだ。」
怒りを押さえつつ、宰相をじっと見た。
「そ、そんなことが……。」
「アビが治療し、今では元気にされている。レジデント殿、王妃は今何処に?」
益々汗が吹き出てきた宰相さん。
手も震えている。
「私は魔族だが、人が思っている程、非道でも外道でもない。只一人の子供を助けたい。心身ともにな。」
「…そうでしたか、ありがとうございます。私も…腹を括るときが来たということですな。王妃様は城の北側の百合の塔に幽閉されております。今からお二人をお連れ致します。何卒…何卒お二人をお救い下さい。」
幽閉だと?王妃を?人間国の王は何を考えているんだか…。
自分の後継者に魔核を埋めるんだから、まぁまともじゃないな。
ふむ、そんな物騒で不健全な所は無い方が良いよな。
チラッと隣の勇者を見ると、
「アビ、誰も居なくなってからだぞ。壊すのは。」
ぐっ!心を読まれてるっ!。何だか悔しいな。ってか微笑みながら頭を撫でるな!!
「あの方は…変わってしまわれた。誰も信用しようとされず、最愛だった妃殿下や王子殿下を…。常に何かに怯えている様子です。怪しげな輩を近くに置いたり、禍々しい物が王宮に増えていって…。私達臣下の言葉はもう届いていないのです。」
「それに気づきながら今まで何も手を打たなかったのは、そちの怠慢だな。」
「仰る通りでございます。返す言葉もございません。」
「ではその塔へ行ってみるか。」
「私もご一緒させて頂きます。塔には複雑な仕掛けが多数ございます。」
「アビ、そんなに壊したいの?」
人を破壊魔のように見るではないわ。
まったく。
私は魔王! bebop @bebop26s
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