チョコレートは特別な・・・

*15話以降の話


 2月14日、バレンタインがやってきた。


 真上太陽としては毎年貰っているが、日ノ出弘人としては友チョコしかもらったことがない。(青からもらっている)


 いすずは…くれないだろうな。俺のことめちゃからかってきそうだし。


 そう思っていたのだけど……。


「はい、お兄ちゃん」

「はっ?」

「なに、ハトが豆鉄砲を食らった顔をして」

「いやだって、いすずが持っているそれって」

「チョコだけど?」


 ハイっと言いながら、いすずがチョコを何でもなさそうな顔で渡してきた。


「……」

「今日はバレンタインだからね」

「……」

「可愛そうなお兄ちゃんに、私からのプレゼントだよ。お兄ちゃん、チョコ貰えなさそうだからね」


 いすずはぷぷぷっと笑っているけど、俺は素直に嬉しかった。


「ありがとないすず」

「へ?」


 俺はいすずの手をとって言った。


「手をそんなに怪我させてまで、頑張ってチョコを作ってくれたんだろ? ありがとうな!」

「にゃっ!?」


 いすずは顔を真っ赤にさせながら、手を慌てて隠した。手にはいくつもの絆創膏がついていた。


「ち、違うもん! これはチョコを作ってできた傷じゃないもん!」

「(満面な笑顔)」

「お、お兄ちゃんのばかぁ!」


 いすずは泣きながら、部屋に戻ってしまった。


「ありがとうな、いすず」


 俺はもう一度、いすずに感謝を伝えた。本当に嬉しかったから。


「さて、いすずと青へのお返しを考えないとな」


(ハッピーバレンタイン)



おしまい

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