秋 その五
かくかくと交差点を右に左に。
やがて自動車道入り口にたどり着き、そのまま入った。
自動車道は片側1車線。右手に海を、左手に夜景を臨む。
星つぶを落としたような夜景と、暗い海に挟まれて。ミラは健気に自動車道を走った。
秋の夜の涼風のようになった気分だ。窓を開ければ涼しい風が車内に吹き込んでくる。が、そこまで季節を味わいたいと思わなかったりする。
エアコンを適度に利かせて快適ドライブだ。
やがて自動車道が終わり、ゲートをくぐり、高速道路へと移る。片側2車線と広くなる。不思議なもので、道が広がると視界も一気に開けるようにも見える。
暗くなってはいるが、ヘッドライトで道を照らしだす。
高速道路に乗ると、ミライースのスペックもあって、淡々と、という感じで走る。
この、夜の高速道路の、淡々とした感じも好きだった。
動いているのに、静止したような不思議な感じ。時が止まるはずないのに、時が止まった中にいるような感じ。
ミライースは淡々と高速道路を走って。パーキングエリアについて、休憩だ。
トイレを済ませ。雑貨屋さんで買い求めたスナック菓子を頬張る。
ドライブで食べる食べ物はどうしていつもの倍以上に美味しく感じるんだろうか。
自動販売機で買った水で喉を潤す。
停まる車も少なく、販売所もすでに閉店して、寂しい感じだ。それでも明るい時間になれば、人が集まり賑わう。それらが地続きで続いて繰り返す、そのサイクルがあるのが時に不思議に思うこともある。
食べるものを食べて、気持ちも入れ替えて。ミライースを発進させた。
淡々と高速道路を走り。
一路、自宅を目指した。
ある平日の休み。
オレは岩槌山(がんつちざん)を目指して国道を北上し。手前にある道の駅でひと休みしていた。
岩槌山はオレが暮らす地域で一番高い山だ。
時間は午前の8時。日は昇っているが、空には雲が多めか。気温も涼しい。あと少しで寒いというレベルだ。
服装も、長そでのインナーシャツの上にTシャツ、そのまた上に、薄手ながらパーカーを羽織っている。
缶コーヒーを飲み終え、ごみ箱に放り込んで、ミライースを発進させる。
岩槌山へと至る登り口の県道があるが、そこをスルーして国道を走り続ければ。トンネルがある。
長さは5キロ以上ある、長いトンネルだ。県境もトンネル内にある。
気まぐれにこのトンネルを通って。隣県側の登り口から行こうと思ったのだった。
オレの県側から入れば、やや下りで非力な軽四のミライースでも走りやすい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます