⑩ 快晴
天高くピキョピキョと飛ぶ雲雀を眺め、遠くで啼く雉の声に目を凝らし、耳を研ぎ澄まして散歩に励む。
雉がカーンと啼くとその姿を探して、カメラを出そうかどうしようかそわそわする。驚きのあまり手から滑ったアイフォンが粉々になった去年の春を思い出して、焦っちゃいけないと言い聞かせてバックから慎重に取り出す。
春の息吹は其処此処に満載で心がウキウキする。雑草を愛でて犬の散歩から帰ってくると、あまりの天気の良さにもう一度外に出る。
庭に水を撒く、葡萄の新芽の確認をする。花がら摘みをする。メダカ鉢に水を足す。
黄砂にやられて真っ白になった愛車に大量のシャワーを浴びせる。
健康な私にとって嬉しい、待ちに待った春の訪れ。暖かい最高の日差し、爽やかな風。
健康とはなんぞや、と考える。
自然の中に生きる動物なら色めく春が嬉しい。陽射しの暖かさがありがたい。
朝スッキリ目がさめる。こんな素敵な春を楽しめないのは、きっと健康じゃ無いからだ。
我が家の魔法使いは花粉症が酷くて、この時期外に出るのを嫌がる。
この前、「爽やかウオーキングに行こうよ」と提案したら即座に断られた。そうだよね。行きたく無いよね。あなたにとっては天敵。
鞄の中には花粉症のセットが入っていて、目薬、洗浄液、マスク。とにかくやられない様に徹底防御しているのに、毎日グズグズ鼻をすすりながら帰って来る。持っているはずのマスクを使ったのを見た事がない。健康に興味が薄いのか。無頓着なのか。
今年のhey feverは強力らしく、歳の始めの対策にも挫けず猛威を振るい続けている。
例年なら、年の初めに薬をもらいに行けば酷くならずになんとか遣り過ごせるはずなのに…
毎日辛そうに鼻をすすっている。ここ何年でも最強。
彼にとって快晴は、喜ばしい事でないのかな?
今は毎日ちゃんとマスクしてます。彼にとっては完全防御。絶対必要。それでも、やっぱりhay feverは彼の唯一の、弁慶の泣き所です。
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