タイトルからして不穏なのに、本文は月明かりのきれいな深夜散歩から始まるのがうまいです。トマスが眠れず外へ出て、夜気や月を味わう描写が丁寧だからこそ、“崩壊する5秒前”との落差が効く。短編らしい怒涛の展開を求める人向けと概要にある通り、平穏の描写を助走にして一気に落とすタイプの作品だと感じました。短い中で非日常への踏み込みを鮮やかに見せる、見本みたいな導入です。
もっと見る