2025/9/29 異形の災害

 覚えているのは、災害かなにかで避難しているところだった。


 本当なら不安になったり嫌な雰囲気が漂っていてみんな笑顔ではなかったりするはずが、やたら陽気な上に本当に災害が起きているのか不思議になるような雰囲気だった。


 私も呑気に遊びながら移動する時期を見定めていた。


 バイト先でブーメランを飛ばしながら歩いていて、普通なら危ないのに、棚を貫通して飛んでいくのをはしゃぎながら見ていた。


 棚は破損せず、ブーメランはぶつかっても何も壊さず返ってきて、キャッチしなかったらずっと行って戻ってを繰り返していた。


 しかも、歩いたらついてくる。


 地球と月のように、ずっと周りをまわってくれているのだ。


 私は大はしゃぎで、災害なんてそっちのけだったけれど、ある日災害を目の当たりにする。


 周りにいるのは普通の人だと思っていたのに、急に頭だけ異形の姿になって暴れだした。


 一人だけでなく、複数の人が。


 阿鼻叫喚の地獄になったかと思えば、異形の頭たちがゲームを仕掛けてきたので騒ぎがおさまるのもあっという間だった。


 ゲームを仕掛けられると、異形頭の用意した特別な空間へ移動させられるらしい。


 私は本がたくさん並んでいる本棚の中に、本で作られた小さな舞台がある場所へ飛ばされた。


 ネンドロイドと呼ばれるフィギュアが舞台の上に置かれていて、勝手にしゃべって勝手に動いていた。


 この動きを覚えて、実際に用意されている舞台で演じ切ったら勝ち。間違えたら負け。


 ルールは非常にシンプルだったけれど、勝てば何があって、負けたらどうなるのか知らされずに遊ぶことになった。


 見て覚えるのは得意だったので、見て覚えてそのままの動きをして合格をもらった。


 私と遊んだ異形頭は頭がカメラだった。写真を撮る方の。


 内容的に撮影用のカメラのがしっくりこない?なんて言おうとしたら元居た世界に戻されたけれど、戻されたのは見覚えのある実家からとても遠い場所だった。


 連れ去った場所に戻してくれよ!


 思わずそう叫びそうになりながら、今いる場所から一番近い元同居人に連絡を取ると、オフ会で遊んでるときに違う異形頭につかまり、オフ会で遊んでた相手と謎解きをして脱出したらしい。


 しかも、行先を選べる異形頭だったのだとか。


 その話を聞いて連れ去られた場所へ向かうと、私と同じで違う場所へ戻されたらしき人たちが殺到していた。


 大人気異形頭。


 遊戯空間へ飛ばしてもらうと、元同居人たちが解いた謎解きがリセットされずにそのまま残っていた。


 壁が星空のようになっていて、謎を解いた後は真っ白な光を放つドアの形が壁に浮かんでいる。


 行きたい場所へと戻してくれる、どこでもドアのようなものらしい。


 光っているドアに触れようとすると、来るのが遅かったのか閉じてしまい、また謎解きをしてね!なんて言われた。


 謎を解いている途中で目が覚めてしまった。


 どんな謎だったかは残念ながら思い出せないけど、楽しかったような気がする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る