2025

2025/1/20 懐かしい夢

 これは小学一年生の思い出を見た夢だった。


 みんな仲良くしてくれようとして、私に話しかけてくれていたけれど、私は話の中心になることも、ちやほやされるのも好きじゃないし得意じゃなかった。


 保育所に通っていた時から、一人で遊ぶのが好きで得意で、人の輪に入るのがあまり得意じゃなかったからだ。


 友達が欲しいという願いも気持ちもあったけれど、何より不器用だった。


 不器用という表現方法を知らなかった私は、言葉が下手なりにみんなにお願いをするところから夢を見ていた。


 真似をするから当ててほしい。


 話の中心になることが苦手なのを幼いなりに一生懸命伝えて、真似した作品を当てられたら楽しく話をするのが見たい。


 そんな趣旨のことを話していて、みんながあてられた作品について、今週観た? って言いながら楽しそうに話すのを見るのが好きで楽しかった。




 過去の思い出と夢の中で違ったのは、童話猫のぬいぐるみを抱っこしているかどうかだった。


 昔の私は学校でぬいぐるみなんて抱っこしていなかったし、もし抱っこしていたら没収されていただろう。


 熱を出して寝込んだときに心強かった猫のぬいぐるみが、今回この思い出まで連れてきてくれたような心地になりながら、思い出を夢の中で回想した。




 クラスのみんながそうやって、私の提供した話題を楽しそうに話してくれるのを眺めるのが好きでとても楽しかったときだ。


 休み時間に校庭の端っこであの人と話をした。


 負けたからと言って願いを聞いてくれた人。


 学校の雰囲気が嫌で、みんなが笑顔で楽しく、仲良くしたい相手と分け隔てなく仲良くなれることを願って聞き入れてくれたあの人。


 知らない言葉を言っちゃいけないってわかっていたのに、喜ぶという言葉にそそのかされた私が台無しにしちゃった幸せな日々。


 思い出せなくなった理由と原因。


 みんなに毎週、話題として出しているアニメの主題歌を歌っていると、歌詞を聞き返して知ろうとしてくれた。


 それはどういう意味なのか、なんて言ったのか。


 私は知ってる範囲で答えていた。


 アニメを観る事もおすすめしていた思い出。


 歌の意味を把握したその人は、いつの日かこの歌詞の意味も込められた気持ちもわかると、歌詞の意味について一生懸命話そうとしてくれていた。


 私は言葉をあまり知らなかったので、この人の気持ちや何を伝えたいのかしかわからなかった。今では何を伝えようとして、歌詞について何を思ったのかがなんとなくわかる。


 今どこで何をしているのか、無事なのか、嫌な目に遭っていないか。


 怖い思いもして、嫌な思いもしたけれど、仲良くなれそうで、大好きになった人。


 私が間抜けだったせいで嫌な思いをさせて、せっかくもらったものも台無しにして、たくさんの人に責められて、何があったかいおうとしたら言い訳にされて話を聞いてもらえなかった辛い思い出もある、幸せだった日々、楽しかった思い出の夢。


 遠い昔の幸せな記憶。その幸せな部分だけを夢に見て、目が覚めてから懐かしい思い出がゆっくりと開いていった夢。


 私がどんな人間で、何が好きで、何が苦手かをもう一度知ることができた夢。


 あたたかい夢。


 懐かしい記憶と思い出に手が届くのが、こんなにも心地よいとは思わなかった。


 蓋をしてしまっていた、とても温かくて大切で楽しかった思い出。


 学校の中で童話猫のぬいぐるみを抱っこしてうろついていると目が覚めた。


 目が覚めてから懐かしさに心があたたまって良い目の覚め方をした。




 私は人の輪に入るのが苦手だ。


 人が楽しそうに、幸せそうに話をするのを見るのが好きだ。


 怖い夢も嫌な夢も見てきたけれど、楽しい夢も幸せな夢もワクワクする夢もたくさん見てきた。まるで現実で積み上げてきた経験のように。


 夢は私の友達であり、家族だ。


 夢のあの人がどこかで生きててくれるのを願うしかないし、どうしているのか知るすべはないけれど、きっと夢が何とかしてくれるようなそんな気がした。


 夢をもう一度好きになる。そんな夢だった。

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