神にも娯楽が必要です

神に祈りを捧げる天に近い場所 教会

今日は神に娯楽を与えましょう。

何色にも染まらない白色の服

丈の長いスカート、長い袖のワンピース。

まるで讃美歌がはじまるような

いえ、始まるのは、、アイドルのライブ


真「皆様、今日は僕たちのライブにおこしいただき誠にありがとうございます。」

使徒はもちろん、一般市民も来席された小さな会場。

人に幸福を、神に祝福を

皆々様に音楽を

教会に似合うとは言えぬほどの明るい曲調が白い壁を反響する。

100%ではない本気を僕らはぶつける。

真ん中に掛けたピースを探すように客席を見る。不思議そうに見る人もいれば、楽しそうに見る市民もいるなか、、見つからない。最後のピースが

やっぱり、、だめだったか。

すうはに視線を送る。

すうは「、、、、、」

無我夢中に踊っていて、こっちの視線に気づく様子はない。望んだ未来は無かったとしても、始まったライブは最後までにやりきらないといけない。

でも、、、、これくらい向いてくれてもいいじゃん、、神様。



本当にどうすれば、残り2曲。

変なことはできない。

思考を巡らしたとき、遠くから数人の声がした。

「姫?!」

ざわつく教会の入り口

白いワンピースに、ピンク色のロングストレートの少女とガッシリとした男性。

桃だけは無理だったか。

いや、やってやろう。

ここからは僕の声かけ次第だ。

真「ありがとうございます!!」

桃の父「こんなこと、、やめろ!!」

あなたがどう言おうがなにかが変わることはない。

真「次で最後になります。」

桃の父「早く、やめさせろ!!」

姫「、、、、、」

真「その前に」

客席へと歩く

すうははなにをする気なのかと困惑しているが、僕はお姫さまの前で膝をつく。

真「佐久実家のお姫様、どうか私たちと踊ってくれませんか?」

桃の手に手を伸ばす。

僕の手を払おうとする男性。

真「、、、」

桃の父「まこ、、と?!」

今更か、まぁ

この人にとって草木真はどうでもいいのだろう。目当ては草木真ではなく、草木家。

ほんと、飛んだ佐久美家信者だ。

名誉さえあればいいだなんて

あー、でも、、この人に限ったことじゃないか。僕らの周りは人ばっか

真「お久しぶりです、お父様。」

僕に向ける刃、、

これ以上は無駄なだけ

真「ごめん、すうは。最後の歌を歌おう。」

その歌は、、僕ら3人は知ってる曲

研究生時代の課題曲だった曲

真「それでは、最後に聞いてください」


桃「、、え、、」

桃の父「やめろ、やめろ!!」

さっきからやめろやめろってそれしか言えないのか、結局弱いだけの貴族様。


桃の父「おい!おやじ!!俺を裏切ったな!!」

口先だけだった男性が、この教会の神父に対してグーを向ける。そしてここの使徒たちが神を護るように割り込む。単純な楽しみで来た子供たちは泣きだし、一般市民は混乱に

ほんの数秒で戦場と化す。

桃の父「ここは、娯楽を禁止する神の教えだったのではないのか?!まるでの集会だな。」

これが、この人の本性か。

そんな状況に、、僕はただ歌うことしかできなかった。なんとなくすうはに視線を向ける、、、、今までにないほどにすうはの体は震えていた。こんな状況に震えるのは普通の判断だ。僕だけでもこのライブを続けなければいけない。

入り口付近で下を向くお姫様、、

姫「、、て」

姫「やめてください!!」

微かに聞こえるお姫様の声に注目が集まる。

桃の父「桃!やっぱり分かってくれるか!!流石は我がむす」

姫「こんなこと、もうやめてください!!

お父様、、他人を巻き込まないでください!!」

桃の父「は???何をバカなことを」

姫?「あなたのせいで佐久美家のイメージは崩落、、でしょうね。」

空気は啞然としていていた。

心優しき姫から、桃から聞いたことないほどの冷たい声で冷たい言葉を口にしたから。

桃は、僕の方へと歩き

真「桃!」

安心の声を発したが

桃「それと、、真もすうはさんもです。」

真・すうは「え?」

桃「ライブをしてくれたことには感謝しますが、、これがアイドルのライブですか?」

桃「アイドルは人にを届ける仕事ですよね?現状産んだのは笑顔ではなく争いです。」

ゔ、、痛いところにズキズキと刺さる言葉

真「そ、、れは、、」

桃「ちなみに、『さっきまでは笑顔だった』、『笑顔をなくしたのは桃のお父さんのせい』という言い訳をしようだなんてお考えですか?」

真「いやぁ、、」

桃「まぁ、いいでしょう。」

呆れたような顔で桃は

桃「マネージャーさん、なんでもいいのですが髪を結べるゴムはありますか?」

腰まである髪を2つに分けて、結び

一応用意していた、桃用のマイクを持ち

ステージへと上がる。

桃「アイドルは娯楽ではありません、たとえ見る側にとっては娯楽だったとしても、私たちは本気です。アイドルは人を笑顔にできる仕事です。」

桃は、僕らの前に立ち

マイクの電源を付ける。

桃「大丈夫です!ここからは楽しい楽しいライブの時間ですから!」

その背中は

出逢った頃の桃とは違った。

真「……」

『ほら』と言わんばかりに

僕たちに笑顔を向ける。

すうは「よし、最後くらいはかっこよく」

真「…そうだね。」


このライブが成功したのか失敗に終わったのか、僕には分からなかった。

三人「ありがとうございました!」




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