センターがいないステージ
レッスン室にラジカセの音が響く
いつものように踊り、歌い
そう、真ん中の隙間以外はいつもと同じ
休憩時間
会話なんて聞こえてこない。
刻刻と進む時間の音が彼らの中にある不安を煽る。
桃という存在が欠けたこの時
真「明日だね、、」
すうは「、、、、、」
テレビ主演がきっかけでぜひと声をかけられた。
真「このまま明日のライブ出てもいいのかな。」
すうは「、、、、、」
真「桃がいない僕たちは、、、、」
ひどく濁った空気
緑林「そんな重く考えたら、、よくない気がします。」
すうは「え?」
緑林「あ、、ごめんなさい。でも、、桃さんは出ないという選択を望まないと思います。」
真「そう、、ですね。」
パチパチと遠くから聞こえる音
その音は少しずつ大きくなって
「アイドルがそんな顔したら駄目だよ?」
ほんとうにトレーナーさんはすごいな
「今の君たちはアイドルなんだから、ほら笑って」
すうは「、、、わらう」
「ウソでも笑いな
私情を表に出していいのは普通の人間であるときだけ。それがアイドルだよ。
君たちはもうアイドルのファンなんかじゃない、アイドルなんだよ。」
下を向いていた2人
真さんは右手の手をぎゅっと握りしめ
なにかを決断したかのように前を向く。
真「桃を呼ぶ、、客として」
みんなの目線が真さんに向く
真「僕らの全力を桃に見せる。もう一度桃に夢を届けたい!!笑顔を見たい!」
すうは「、、はい!」
パッと笑顔を取り戻した2人は、やる気に満ちあふれていた。
真「トレーナーさん!ありがとうございます!!」
「うん!うん!その顔こそアイドル!!」
真「早速ですが、練習をお願いします!」
すうは「え?今から!?」
「了解!ビシバシ言うよ?」
真「よろしくお願いします!」
すうは「お、お願いします?」
真「あ、マネージャーさんは、、、」
ーーーーーーーーーーー
小さな紙とボールペンと戦う
お願いされたとはいえ
招待状ってなんと書けば???
相手は高貴な御方、、普通の文で通るのだろうか。うーーーん
乱雑に広げられた資料をなんとなく整頓しながら、脳内で文章を考える。
本番は明日、、何回も何回も書き直す時間はない。もちろんこんなふうに悩む時間もない。もういっそのことなにも考えずに書いたほうがいいのだろうか。
なんとなくで書いた招待状を封筒に閉じ込め
練習中の2人を待つ。
真「お疲れ様です。」
緑林「あ、お疲れ様です。」
真さんの目線が机に置いてある封筒にいく。
真「それ、出来たんですね。」
緑林「はい、どうぞ。」
真「ありがとうございます。」
その封筒を鞄にしまい、上着を着だす。
緑林「このまま?」
真「はい、このまま桃の家に行って、ポストに入れてこようかなと。」
緑林「では、気を付けて。」
真「行ってきます。」
ーーーーーーーーー
暗い世界で、地面を照らす街灯を頼りに、桃の家へと向かう。
桃の家、しばらく行ってないな。
家は何年経とうが、大きな理由がない限り変わらないか、特に佐久美家は
せっかくだからすうはも連れてこようかと思ったけど、、あの調子じゃトレーナーさんとの居残り状態で、連れてこさせるのは無理だよね。それに連れてきて、家の前で騒がれて近所迷惑になるのも困るし、僕だけでよかったよ。
確か、、ここを左だよね、、
住宅街だったはずの光景の先にひろがる大きな豪邸。そこが桃が暮らしている、佐久美家。最後に来たのいつだっけな、、まだ、お姉ちゃんがいた時?
まぁ、昔に浸ってる場合じゃないんだけど、、早くポストに入れないと。
えーと白のポスト、、ポスト
あ、あった。よし、、事務所に戻ろう。
最後の希望は、ポストの中を桃か執事さんが見てくれること。お父様が見るとなると、まぁ、、すぐに破るだろうな。
明日は2人の特定席を確保してっと
そういや、、、
来た道を通り、足早に進む。
早く事務所に戻って、家に帰らないと
来週の分の牛乳が足りないんだった!!
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