第七章

目が覚めるとそこは白い世界だった。

「ここは…?」

『ようこそ。ここはどこでもありません』

「うん。わかんないけど、状況は理解出来た」

『どういうことですか』

「君は?」

『申し遅れました。私、輪廻転生を司る神、輪香です』

「とりあえず、輪って呼んでいい?」

『自分勝手な人ですね。まぁ、良いですよ』

「で、何?死んだの?」

『ご説明に』

「どういうことだ?」

『まぁ、聞いてください。一世界前のあなたの両親を殺した、あの、忌まわしき死神についてです』

「は?」

『頼さん。落ち着いて聞いてください。あの懐さんは、運命の神ではありません』

「いや、何で?」

『分かり易く言えば運命の神をこき使っている神です』

「つまり、運命の神は他にいて、懐がそいつを通して運命を変えているって事か?」

『まぁ、そう言う事です。そして懐さんの役職。つまり、何の神かと言うと、死を訪れさせる、死神です』

「えっ…?」

『あの人は無意識に人を殺しているのです。よく思い出してください。モヤシさん、何であんな死にたがってたんでしょうね。今では虎男さんと好き同士なのに。それにテストの後のあの少年。何であんな死にたがってたんでしょうね。今では立派に社会に貢献しているのに』

「…。」

『あなたがいなくなった世界では人が死に続けました。ある人は焼け死に、ある人は殺され、ある人は自殺し、ある人は交通事故で被害者加害者とも死にました』

「そんな…」

『もちろん、虎男さんや、モヤシさんもです』

「くっ…」

『でも、どうでしょうか。懐さんがいなければ、死因は寿命だけで、幸せな世界。誰も死なないし、怪我しない。傷つかない。人類が一生滅亡しない、幸せな世界が生まれたんです』

「どういう、事だ」

まるでそれは、

『人を生かす神様。みたいですよね』

「何で、」

何でこいつは俺の思っている事を…。

『読めます。読めちゃいます』

そうか…。

『人が死に続ける事が出来る、死神と人を生かす事が出来る生神』

「混ぜるな危険。か。」

『そうです』

「そうか」

『おっと、そろそろ時間が来ましたね。それでは機会があったら』

「そうだな。ありがとう。輪」

俺は、それから、ベッドの上で起きた。

俺は夢の記憶があったままだった。

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