第六章第二話
「ん…」
もう、朝か。
「ふぁ〜」
ふと、隣を見たら、
「むにゃむにゃ…」
懐がいた。
「!?」
落ち着け、俺よ。万が一、懐の部屋に入り寝たのなら、このまま物音を立てずに行くぞ。
だが、ここにはいつもの家具、いつもの部屋、いつもの風景だ。
つまり、ここは俺の部屋。
なら懐と昨日一緒寝た覚えは無いし、そんな事をする訳ない。
だから、
トイレに行き、部屋を間違えた説。
とする。
こう言う時の対処法は、
『物音立てずに何も無かったように起こさずに懐の部屋に懐を持って行き、証拠隠滅』
だ。
だが!危険度が星4.5だ。
「ど、どうする…?」
そうやって悩んでいる内に懐が起きてしまった。
「あ、懐…」
「むにゃあ」
(くそ、どうする?)
すると懐が突然、
「おはよう、お兄ちゃん」
と言ってきた。
流石の俺も
「えっ?」
返し。
「えへへ…。お兄ちゃん…。好きぃ…」
「寝ぼけてるのか?」
「え?」
おいおい、お兄ちゃんがイケメン俳優になった夢見てるぞ。
「何言ってるのー。お兄ちゃんは〜、お兄ちゃんだよ〜」
「???」
「へへ〜。お兄ちゃん〜」
「どういう事だ?」
ガチャ。
「おい。そろそろ飯だ、ぞ…」
「あっ」
「大丈夫。頼。義理の妹は結婚しても良いんだそ」
「親父勘違いだ」
「いや、頼流石に言い逃れ出来ないぞ」
「いや、」
「そうなんだ〜。お兄ちゃんと、結婚するんだ〜」
「おい!」
「大丈夫。大、ぐほ!」
「親父!?」
「流石に義理でも、娘が嫁に行くのは…」
「無理しなくて良い!」
「どうか、娘をよろしく頼む」
「ち、がぁぁぁぁぅぅぅぅう!」
朝食
「お兄ちゃん〜。アーン」
「えっ…」
「アーン」
「あ、アーン」
パク。
「美味しい?」
「うん、美味しいよ」
「私が食べさせるともっと美味しいでしょ〜」
「う、うん」
「じゃあ、次はお兄ちゃんの番だよ」
「えっ」
「アーン 」
「は、はい、アーン」
「ん〜。美味しいよ。お兄ちゃんが食べさせたからもっと。愛が詰まってるよ」
「くっ…。」
「ぐほっ!」
「あら〜。」
上から俺、父、義母である。
何だよ。こいつ、こんな…
こんな可愛かったけ?
やばい、もう好きだけど何かもう、
もっと好きになりそう。
攻撃力えぐ。
これは、氷魔に報告しなくちゃ。
「と言う事で今に至る」
「なるほど」
「どう、思う?」
「〇ね」
「ひど」
「まぁ、懐が何か運命にした。ってことじゃないの?」
「えぇ…?」
「うーん。これは…。
『本当の義妹だったら』って運命だよ」
「まじか。だが!それを戻すような事を言わせれば、良いってことよ」
「なるほど」
「懐ー」
「はーい」
「『元に戻ったら』って言ってみ」
「?『元に戻ったら』」
「どうだ?」
「何が?」
「ん?」
「お兄ちゃん。早く学校行こう」
「えぇ…。」
「もしかしてだけど、本当の意味で義妹になったら。なのか」
「どういう事か?」
「つまり、運命の神、懐とでは無く、
頼の義妹、懐として、今ここにいる」
「ふむ。」
「つまり、運命を操れないって事」
・・・・。
「はぁ!?」
「大丈夫。周りには被害が無い。しかも1週間だけ。」
「つまり…」
「周りにはただのリア充として見られる」
「んな、事ダメじゃねえか!」
「大丈夫。殺してあげる」
「嫌だよ!」
ああああ!
「嫌だ!」
そのまま甘々な生活を1週間続けた。
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