「私は四天王の中でも最弱」――そんな物々しい告白から始まるのに、読み進めるほど頬がゆるみます。
自由気ままに振る舞う猫と、その一挙手一投足に恐るべき知略や深い慈悲を見いだす、生真面目で忠義に厚いミノタウロス。荘厳な異世界の語り口と、どう見ても愛らしい日常との落差が絶妙で、壮大な勘違いが膨らむたびに笑ってしまいます。
けれど、本作の魅力は笑いだけではありません。読み進めるほど、語り手の責任感や謙虚さ、誰かの才を信じる優しさが見えてくる。そして、そこにいるだけで魔物と人間の心を少しずつ和ませてしまう猫が、たまらなく愛おしい。
笑うたび、登場人物をひとりずつ好きになっていく。猫好きの方にも、疲れた日に心を緩めたい方にも贈りたい、やさしく幸福な異世界コメディです。