第2話

個撮をまだ始めたばかりの頃、初めに撮ってくれた人は良心的な人で、何処に連れて行かれるか分からないから念の為車の送迎は断った。すると相手は

「自分の考えが足りませんでした。ご不安にさせてしまってごめんなさい」

と丁寧なお詫びの返事をくれて、撮影場所の最寄り駅で待ち合わせることにした。


カメラマンの人と出会ったきっかけはインターネットで、個人で有償モデルができる方法は無いか探していたら撮影の掲示板を見つけた。着衣ポートレートまでの募集も探せばあったが、そこは大半がヌードモデルを募集していて、カメラマンがモデルを募集する枠と、モデルがカメラマンを募集する枠がそれぞれ分けられていた。


一人でできる仕事は無いか探していた。一人で、と云っても依頼者のカメラマンが居ない限りどうしようもできないが、複数の人間と極力関わらずやっていける方法を探していたのかもしれない。


掲示板を知るまではモデルを募集している事務所のホームページから応募したこともあった。



アングラと呼ばれる界隈でこっそり潜り込み、その割には自分の姿をしっかり、おまけにある程度は綺麗目に撮って貰うのを望みながらギャラを貰う。


外では自信が無さそうな立ち振舞いの割にはプライドが高いのは自覚していた。基本的には一対一の仕事で、とやかく言う人間の数は減るから、そんな自分の内側の部分を引っ掻き回される機会も減るだろう。

その時は始めた理由がそうだとは思わなかったけど、今思えば根本にあったのかもしれない。

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ミラーレス 個撮の神様達と出会うまで ミカ @mika-mt

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