初手イベントは実質罠

【自宅▷▷▷始まりの街エルン】


「さて、帰ってきたものの、何をするでござるか…」


街中を歩きながら頭をうんうん唸らせる。


そういえば、ブルーク殿が森をオススメすると言っていたのを思い出したでござる。

これと言って、やりたい事など決めてない故、助言通り森に向かうでござる。


森の位置を確認するために一番高い建物…

は教会でござるな…

流石に罰当たり過ぎて、なにか起こりそうで怖いでござる。


予定を変更して二番目に高い建物の屋根上に登り、森を探す。

草原にいる人数やば過ぎでござるな、ざっとみただけでも獲物が被りまくってる現状でござる。

して、あちらが平原でござるな、ならば!反対方向のあちらが森でござるな!


さぁ森よ!いざ参るでござる!

そう意気込み、屋根伝いに森へとそそくさと向かうのであった。



_____________________

【始まりの街エルン▷▷▷小人の森】


森に入り、木から木へ跳びながら移動していると、何やら人影らしき物が6つ見えたでござる。


…あやつらは何をしているのでござる?


そう不審に思い、その人影に近付く、

ある程度近付くとゴブリンのような背格好が見えてきたでござる。


拙者の目に写るゴブリン?は小さい体に長い鼻、歪んだ口に汚れた皮膚と言った完璧なゴブリンでござるが…

何故か色が赤、少々武器や服が豪華なのでござる。


言うなればハイ・ゴブリンとも言えるでござろう後ろ姿が6つござった。


ゴブリンと言えども油断大敵、切り捨て御免でござる!


ゴブリンの後ろに回りにバレないよう手で口を抑え、急所と思われる首元に短剣を刺すつもり、でござったが…


「あぶないでござるなぁ」

刺す瞬間、後ろに気配を感じる。

拙者は敵の口元を押さえていた手を使い、ゴブリンを盾にして攻撃を防ぎ、盾にしたゴブリンに短剣で止めを刺し距離を取るでござる。


拙者の事を背後から襲ってござったのは緑色の狼、周りを見ると計6体の緑色の狼がござる。

どう倒すか思考してござると『グルル』と言ううめき声と共に威圧が飛んできてござる。


「ははは、これはやばいかも、でござるなぁ」

先程の1体倒して計残り11体、それも全員拙者よりLvが高いときた、これはとんでもなく心踊る現状でござる!そして奥と入り口の方から強烈な気配も漂ってござる。


軽く索敵してみると自分の周りには計9体しかおらず、強烈な気配で分かりにくかったでござるが、向かってくる気配は入り口と深部にもう1体ずつ気配がござった。


 増援を呼びに行っていたのでござるか。

「これは本当に、参っちゃうでござるよ」


並みのプレイヤーならこの状態を絶望と称したのであろう、だがヨソクはこれは面白いと言うように笑いながら呟く。


(向かってくる強烈な2つの気配は多分ボスでござろう。

一応ボス個体が来るまでは待ってくれるつもりみたいでござるが、この状態のままボスが来たら拙者は確実に勝てぬでござろう。

さて、近くの狼はすぐ殺れる、そっからどうするかでござるが…

結局やることは1つでござる故、勝負でござる!)


覚悟を決めて一度頭の中を空っぽにする…


ストレッチを行いながら、息を吸って、吐く。吸って、吐く。


相手はこの行為を目視し警戒を強めるが結局それだけ、敵はなにもしてこないでござる。

今一度敵の位置を確認し、腰の鞘に武器をしまう。


あまりこれは使いたくなかったのでござるが、惜しんで負けるは忍の恥でござる。


四十九は目を閉じ、一度呼吸をし空気を全て吐く。

手を胸元にて両手を合わせ、手印を結ぶ。

「【心】【頭】【滅】【却】」


ヨソクが手印を組み終わるとともに。

脳のリミッターが外れ、次の相手の動きが手に取るように判る。

そして世界の全てがスローモーションに見えるようになる。

その代償に全身の体温が全て抜け、0度になり続けると同時に脳が直に熱されたような、頭が潰された様な感覚が使っている間ずっと付きまとう。


先代が忍者と呼ばれていた八重乃家に唯一残っていた奥義秘伝書の術であった。



「滅」

そう呟くと共に先程襲撃を仕掛けてきた狼を一瞬にして滅す。

その光景に驚いた敵の首を近い順から滅していくが、頑張っても今は3体が限界、ヨソクは計4体を一瞬にして倒す。


一体は慌てて突進、それを避け、滅す。


弓矢を使っていた敵は射ってくる矢を交わしながら近づき、滅す。


剣で切りかかって来た敵は攻撃を受け流してから足払いの後滅す。


噛みちぎろうとしてきた敵は顎に一撃いれて怯んだところを滅す。


片や剣、片や爪、2体で攻撃してきた時は攻撃が被る位置に誘導し、動きにくそうなところを滅す。


9体を潰し終えた後に少し経ってからボスが到着した。


「鈍」


流石というべきか、この惨状を見て驚いても気を緩めやしない。

側近の2体は驚いて固まっていたためゴブリンの遺品を投げて滅す。


相手はさっきの奴ら12体分の何倍も強い敵2体を前に、尚もヨソクは笑っていた。


ヨソクとボス二人は敵に対し注意を向ける。


どちらが動けば動いた方の敵がそれに合わせ動くと言う一発触発状態。

しかも相手の力量も分からない今の現状、動こうにも動けない状態が続く。


その状態に痺れを切らしたのか、

試合開始を合図するように赤色ゴブリンのボスと緑色ウルフのボスが前腰になる。


四十九も腰を落とす。

短剣を握り直し、相手の隙を待つ。


両者ほんの数秒見つめあった後、ボスゴブリンが最初に仕掛ける。


ボスゴブリンは右手にっている棍棒をおもいっきり地面に叩きつける、

その攻撃を避けて地面がへこんでいる事を確認したヨソクは、すぐボスウルフからのクロス上の攻撃を回避し、ヨソクの背後にあった木が抉れている事を確認する。


それをみていたボスゴブリンが『薙ぎ払い』を使い。

その後ボスウルフが右斜め上から腕を振り下ろす。

計20分後、ヨソクは先程から回避後にちまちまとダメージを与えてはいるが敵の体力は残り8割、回避しながらの攻撃では雀の涙程度しか入っていない。


しかしこの攻防どちらの陣営も余裕がない。

ボスゴブリンとボスウルフにとって先程ゴブリンと狼を倒して入手された経験値のせいでボス二体への攻撃は普通に通るようになってるため、1個1個の行動が命取りになっているのである。


だがヨソクもいかに体力をつけていようとも、心頭滅却の最中、術は使ってる間体力を使うのだ、それが奥義ならなおさらだろう。

それに重複される激痛や寒さのせいで精神的負荷もかなりのものだろう。


それらのような状態からどちらの陣営も余裕がない、故にヨソクは攻めに回るしかない。


ヨソクはボスゴブリンへと近づく、ヨソクの速度に合わせて混紡が振り下ろされるが、それを横に回避し心臓部めがけてジャンプし発勁を食らわせる。

するとボスゴブリンは胸を押さえ後ずさった。その隙に首を切ろうとしたが、その前にボスウルフがカバーに入ったがヨソクはそれを躱し側面に刃を入れる。

ボスゴブリンもボスウルフどちらも決して低くはないダメージを入れられ焦った。

そう、焦ってしまったのだ。ヨソクは身を屈んで土を拾い、立ち直って混紡を振り下ろそうとしたボスゴブリンの目にかける、その行動にボスゴブリンは自分が狙われていると思い混紡を振り回す。


その間にヨソクはボスウルフへと足を進める。


ボスウルフはしまった!というように慌てて攻撃するが、その攻撃をヨソクはすれすれで躱し、首の根本に刃を突き刺してから右側にスライドさせて斬った。


ヨソクがボスウルフを倒すと復帰した

ボスゴブリンがボスウルフの死体を確認し、雄叫びを上げる。

すると空中に魔方陣が現れ、そこから人間サイズの火の玉が飛んできて着弾時に手榴弾規模の爆発が起きる。


ヨソクはそれを必死に躱し、ちょうど5分が経ったところでボスゴブリンいきなり真横に現れ混紡を振り下ろす、ヨソクはギリギリのところでスライディングで躱し、地面を蹴ってボスゴブリンの背後へ跳び、後ろから脈を突き刺して勝利する。

ボスゴブリンとボスウルフにかったヨソクは、印を結びて、印を解く。


「【終】」


終の手印を結ぶとヨソクの体内に熱が戻っていき、脳の熱と頭の痛みも引いていき、心頭滅却が解除される。


心頭滅却も解除されたでござるな!さて!倒した魔物の魔石を回収するでござる!


魔石を回収するとモンスターの姿が消え、

血痕だけが残り、モンスターの素材も拙者のストレージに格納されたでござる。


さて、流石に疲れたでござるし一旦町へ戻るでござる。


町へ戻るついでにそこらにいるゴブリンを倒しながら戻るでござる。

後普通に町に戻る際に倒したゴブリンたちは全員緑だったでござる。

あの赤の奴らはなんだったのでござろうか?

意地悪トラップ過ぎるでござるよ、あれ。


【小人の森▷▷▷始まりの街エルン】


入った途端Tipsウィンドウがきたでござるが拙者以外にこのウィンドウは見えてない故、無視して思いをぶちまけるでござる!


「ただいまでござる~!」


さて、Tips確認するでござるか。


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Tips 不審なものについて


一つのマップには必ず一体隠しボスがいる。

それらは何らかの条件で現れる、もしおかしいと感じたらそれが隠しボスへの扉かも?


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ははは、やはりあれは罠でござったか。

まじ許さんでござる、経験値美味しかったから許すでござるが。


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【あとがき】


途中ヨソク視点じゃなくなりましたが、どうかご勘弁を、心頭滅却中は痛い、滅する、殺すしか頭に残りません、考えることは一応出来ますが文字を起こせるほど考えることはできないのです。


そして経験値が美味しかった、と言っております故、そんな描写無かったじゃねぇか、とお思いだと思います、全くその通りです。

ですが、ヨソク視点じゃなくなった時にレベルアップの通知がクソ煩いほど来ていたのです、だから美味しかった、と判断したわけですね。


なら最初のゴブリンを倒したときはなんでレベルアップしなかったんだよ、と言うところですが、あのゴブリンの種族はハイゴブリンライダー、つまり狼とゴブリンは同一種だったわけです、ですから片方倒しても経験値は手に入らなかった訳です。


ここが見やすかった、みにくかった等があれば随時教えてくれると幸いです。


この次の話も楽しんでくれれば幸いです。

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