賭けるがこそ
「拙者、今日こそゲームをやるの巻でござる!」
というわけで今はサービス開始2時間前!世界が轟くこのゲームの名前は!
『Forest Desert Snow Miscellaneous Online……』
友に勧められなかったら見向きすらしなかったでござろう位に巫山戯てる名前のゲームでござった。
──こんな名前のゲームをやる人はいるのでござろうか?
と思ったでござるが、拙者はやろうとしているが故、何も言えないのが現実でござるが…。
拙者とて楽しみでござる故、色々調べたのでござるが…
さすればなんとスレッドが50件近く建っていたのでござるよ!
拙者は目を疑ったでござる、まだサービス開始前なのにあのスレタイの数にこの騒がれよう…
まさしく今年度のNo.1神ゲーの座は不動と言えるでござろう!
そんな神ゲーをお主の姉がやらないわけがない、
という意味を込めてお主の姉はやらんのでござるか?
と聞いてみたところ、勿論やるみたいでござるな。
ていうか姉もβテスターだったらしいでござる。
知らなかったとは言え、βテスターじゃないのが拙者だけとは、少し悲しいでござるなぁ。
そして拙者は友にこう言いたくなって欲望のままに言ってやったのでござる。
『この強運姉弟が滅びればいいでござるよ!』
そう拙者が欲望のままに言ったら友は悲しそうに口を開いたのでござる。
『運、だったらよかったんだけどなぁ…
今回は名前があれなだけあって応募数が少なかったんだよ。
しかも初の没入型VRMMOなだけにヘッドギアを新規で買わないといけなかったし。
ヘッドギアを買うにしても公式サイトで電話番号や住所を入力しないと買えないし出来ないしでなんとも怪しい仕様だったんだ。
そのせいで応募したバk(ゲフンゲフン)、好奇心旺盛な奴らは12人しかいなかった…
しかも殆どが男というな!
因みに女は俺の姉の一人だけだったからロマンスなんて以ての外だしこのゲームは性別変更ができないから実は女でした!なんて男の夢とも言える現象は起こりえない。
しかも俺はヘッドギアを自腹で払わされた挙げ句姉に無理矢理応募させられたしよぉ!
そんな現実に絶望して当たり散らかしていたら
なんと凄い有名になったんだよ!
…悪い意味でだがな(ボソッ
だが安心しろ!本サービスでヤンチャはしない!』
と長文喋られたのでござる。
欲望のままに言った自分も自分で悪かったと思い、最後まで聞いたのでござるが…ござるが!
言い終わったなと思った瞬間腹に発勁ぶちこんでやったでこざるよ!
「PKは許してもお主は許さぬこのヘタレ野郎が!成敗でござる!」と言いながらでござるがな!
その後、教室で自分の机にゲロる友を尻目に高笑いしていたら次の時間が体育と言うことを思い出し、時計の針を見たら次の授業まであと一分。
その場で着替えて窓から、とうっ!
後ろのゲロってる長言野郎は無視してグランドに移動でござる!
飛び降りた教室から『おまっ!ちょっ!ふざけんなてっめ!あっ、またおろろろろ!』と聞こえた気がしたでござるが〜…
気のせいでござるな!
さて、何故か愉快なことまで思い出したでござるが本題のVRMMOをやるでござる!
幸いサービス開始まで後1時間40分程度、起動して身体を慣らしていたらすぐでござるな!
やったことないから多分でござるが…
「というわけで起動でござる!」
ベットで横になりハードを起動させてからカセットを選択してFMOの世界に入る。
「昨日も思ったでござるが、やはりVRMMOと言うものは凄いでござるな〜!
まるで現実のように体が動くでござるよ!」
少し体を動かし、メニューウィンドウを見ながら思い出す。
「あぁ、キャラクタークリエイトなるものが事前にできる、と友が言っていたでござるな。
確かやり方は…『おーだー、きゃらくたーくりえいと』だったでござるよな?」
『Order Character Create』ベータテスター等の古参面している者達は【Orderキャラクリ】と略す。
…がキャラクタークリエイトと言わないと出ないので恥をかく事になる。
因みに友人Aはこれである。
Order Character Createと言うと目の前にウィンドウが現れ、どこからか声が聞こえる。
『ようこそForest Desert Snow Miscellaneous Onlineの世界へ。
先ずは種族、職業、ステータス、スキルを選んで下さい。
⚠上記を選択する際の選択にはInitial Pointが必要になりますのでご注意下さい。
IPはCharacterCreateの場面で100P貰えますが、CharacterCreateでしか使えないので使い切る事を推奨します。
⚠CharacterCreateで出てくる種族や職業やスキルは後程条件を満たせば転生、獲得が可能となります。
ステータスはレベルを上げれば伸ばすことが可能ですが、人間などの"コモン"な種族の場合はその種族値の上限を上回ることは有りません。』
「感謝するでござる……ふむ?…ふむ…………ん?お主、このランダムと言う物は何でござろうか?」
説明を聞き終え感謝の言葉を紡ぎながら職業一覧を下へ下へと進めていき、取り合えず一番下にあったランダムについて聞いてみる。
『ランダムとはその名の通りランダムに選び、ランダムで選出されたJobを最大一つまで保留に出来ます。
低確率でリストには無い種族、職業、スキルが出る事があります。ですが、ランダムを引くのに15IPを使い、ランダムで出たものにもIPを使いますのでご注意ください』
「でござるか」と一言呟き職業のリスト一覧を見落としが無いか見返す。
最初に100IPが貰え
職業の一覧にお目当ての『忍者』が無かったので、少しでも忍者の可能性がありそうな職業ガチャを迷いなく引く。
「こいでござるこいでござる!」
憑りつかれた様に呟き続け職業一覧のガチャを押す、すると虹色のカプセルが出てきたでござる!
と思い見ていたら虹色のカプセルは黒色に染まりだし…
一枚のA4サイズの紙に変わったのでござる。
拙者はその紙を手に取り、取った紙に目を向けてみるとそこには盗賊の文字が。
「?あんな派手な演出だったのに盗賊でござるか?運が良いのか悪いのかイマイチ分からんでござるな…」
盗賊のJobに拙者は最初に上げて下げるタイプのガチャでござるか?と疑問符を浮かべる。
拙者は嬉しさ半分悲しさ半分になりながら首をかしげる。
『Rare Jobの盗賊が当たりました、盗賊に必要なIPは50です、職業を盗賊に設定しますか?』
(ふむ、盗賊を含み合計65でござるか〜…
残り70で忍者が出たとて、レアジョブの盗賊で50掛かるでござるのに対し、恐らくそれ以上である忍者は70以上いってもなんらおかしくないでござるが…
もし忍者を70と仮定した場合もう一度ランダムを引いてみても良さそうでござるな)
「No、もう一度ランダムを引くでござる」
少しの思考を挟みどこからか聞こえる声に四十九はウィンドウで、ではなく口答で返した。
『今のガチャ結果を保留にし、もう一度ランダムでJob選出します、本当によろしいですか?
はい いいえ
』
「はい」
またも四十九は口答でランダム(はい)を選択する。
ランダムを選択すると二回目からは演出がスキップされるのか、最初から目の前にA4の紙が浮かんでいた。
「あの派手な演出がもう見れないのは少し残念でござるが、はてさて、お次の結果はなんでござろうか!」
テンションは少し下がれどガチャへの変わらぬ期待を胸に、A4の紙へ手を伸ばす。
すると突然紙が光りだし、耳から声が聞こえる。
『Rare Jobの盗賊が当たりました。
ランダム選出での職業の重複を確認しました。
『これにより当アカウントの立ち入り制限を解除します』
『立ち入り制限の解除に伴い当アカウントはNPC表記になります』
『NPC 表記に伴いNPC との会話に補正がかかるようになります』
『NPC表記に伴いアイテムBOXが使用不可になります』
『アイテムBOXの使用不可に伴いウィンドウ画面からの装備切り替えが不可能になります』
『ウィンドウによる装備切り替えの不可に伴い手動での装備切り替えが可能になります』
『空腹度が解放されます』
『活動限界が撤廃されます』
『痛覚設定が100%に固定されます』
『疲労ゲージが現実の肉体を元に参照されるようになります』
『窒息ゲージが現実の肉体を元に参照されるようになります』
『重複によって盗賊に必要なIPが全てになります』
『職業が強制的に盗賊になります』
「?…?…?」
『IP不足の為種族が人間になりました』
『IPが0になったためスキル選択をスキップします』
『IPが0になったためステータス割り振り画面をスキップします』
『次に見た目の変更を行います』
怒涛のウィンドウラッシュに拙者は「?」を浮かべながら今の状況を導き出そうとするが、そんな四十九を放って謎の声は先へ先へと進めて行く。
「はっ!ちょっと待つでござるよ!流石にこれはご無体でござる!」
『そんなに慌てなくても大丈夫よ、あなた、運だけはあるんだから』
そんな状況に抗議する四十九。
その抗議に対し、終始機械的な喋り方であった謎の声は、はじめて感情的な声を出すのだった。
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【補足】
とりあえず【四十九の色々】説明(現実)
【髪】黒
【目】赤みを帯びた黒
【肌】色白
【顔】中性的な顔をしている(現実だと殆ど見えないが)
【身長】140センチ程
(潜入工作などがしやすい点から本人は気に入っているが一部アニメを見ている層からは可哀想な目で見られている)
【性格】興味無い事にはとことん無関心だけど一回やったらだいたいできる超天才肌
【特技】どの高さから落ちても無傷で着地できること
【口癖】ござる
【好きなもの】忍者刀、手裏剣等の忍者に関するもの
【嫌いなもの】意味の無い嘘、正々堂々
影で猫と呼ばれているが本人も猫は好きなため黙認している。
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