第38話 海(ソフィー・ユキ編)・後編

串焼きを食べるために場所を探して歩いてると奥に行ったところに椅子とテーブルが沢山置いてある場所が見つかった。


「ソフィーちゃん、椅子あったから座ろっか」


たくさんある中の1つに座ってさっき買った串焼きを並べる。


「あっちょっと待って!ご飯食べる前にお手て綺麗にないと。こっち来て」


食べる前には手を綺麗にする。ナギサ様やセラさんからいっつも口を酸っぱくして言われてるからね。


魔法で水を精製してソフィア様の手を水で洗い流す。


「はい、いいよ〜」


「いただきます!」


自分の手も洗って買ってきた皮の串焼きを頬張る。

やっぱり皮はパリパリに焼いたのが1番好き。お姉ちゃんは柔らかい方が好きって言ってたけど………………絶対にパリパリの方が美味しいに決まってる!


「おいし?」


「うん!」


ソフィア様は美味しいそうにほっぺたを膨らませながらどんどん鶏皮を口に放り込んでいく。


「誰も取らないから、ゆっくり食べな〜。詰まらせちゃうよ」


「だいじょぶ!ちゃんと噛んでるもん!」


よく見るとソフィーちゃんの顎はしっかり上下に動いてて、しっかり噛んでいるのがわかった。まあナギサ様も注意とかはするか。



◇ ◇ ◇



「さ、お腹も少しは膨れたことだし、泳ぎに行こっか!」


流石にもう泳げるようになってるでしょ。


串焼きのゴミ捨てて一回テントに戻る。

まだナギサ様達は戻って来ていなかった。まだ時間がかかってるみたい。それにしても、お姉ちゃんはどこ行ったんだろう?


「ユキお姉ちゃんまだ〜?」


「今行くよ〜」


変な事に絡まれてなければ良いんだけど………………お姉ちゃん優しいから何にでも手を出しちゃうから、そこだけが心配なんだよねぇ。


「お待たせ、行こっか」


予想通り、海には入れるようになってて沢山の人が泳いでた。


「はい、浮き輪。ちゃんと溺れないように掴んでるんだよ」


「だいじょーぶ!さっきも沈まなかったもん!」


「それなら良いんだけどね」


私も浮き輪に体を通して海に入る。け、決して泳げないからじゃないんだからね!!保険だから、保険!!溺れちゃったりしたらソフィア様が慌てちゃうから!!


「お姉ちゃん引っ張ってー!」


「はいよ〜」


海に入ってからは鬼ごっこをしたり、今みたいに浮き輪を引っ張って泳いだり、普段では考えられないくらいの運動量をこなした。はっきり言って運動不足だった私の体は海に入って30分で悲鳴をあげ始めてて、特に脚は痛みが出て来た。


「お姉ちゃん大丈夫?」


「あはは、ごめんねぇちょっとだけ休ませてもらって良いかな?」


うぅ……………自分の弱さが不甲斐ない。もっと日頃から部屋を出てお姉ちゃんを手伝ったり、遊べば良かった。せっかくソフィア様は楽しそうに遊んでくれてたのに、自分のせいでそれを辞めさせちゃうなんて…………


「うん!じゃあ一回戻る?」


「ごめんね…………」


「うんん!ママが『困ったらお互い様!ちゃんと助けてあげるんだよ!』って言ってたから、お互い様!!」


「そっか、ありがとうね」



◇ ◇ ◇



痛む足をなんとか引きずってテントまで戻って、テントの中に入ってすぐに横になって氷で自分の足を冷やす。


「大丈夫?ママ呼んでくる?」


「い、いやいや!そこまでしなくてだいじょぶだよ。ちょっと横になってればすぐ良くなるから!」


流石に自分の体力不足を理由にナギサ様達を呼ぶわけには死んでもいかない。そんな事をしたらセラさんに後でなんて言われるか……………………ははは。


「……………お姉ちゃん」


「うん〜?どったの?」


「ちょっと眠い…………」


そう言うソフィア様の目は眠そうにとろんと瞼が下がりかけていた。


「じゃあお姉ちゃんの隣で寝る?」


「うん」


「ほら、おいで?」


持って来た荷物からタオルケット(体を拭く用)を取り出して私の横に寝転がったソフィア様の柔らかそうなお腹を包み込むようにタオルケットをかける。


「ナギサ様達が来たら起こすね」


「うん……………おやすみ〜」


「おやすみ」


そのままソフィア様はお昼寝(午前)に入った。

そして、ソフィア様が眠り始めて10分が経った頃、最初は起きていようと思ってたけど、寝ている顔を見ていると私にも眠気が襲って来た。


(私は………………起きてないと……………………お姉ちゃんだから………………)


けど、呆気なく私は眠気に負けて瞼を閉じた。



◇ ◇ ◇



「うぅ〜ん………………あれ?寝ちゃった?…………………って、うわっ!?」


いつの間にか寝てしまったらしく、目を開けると


「ふふっおはよう。お留守番ありがとうね」


目の前にはナギサ様とセラさんが立っていた。

うぅ……………寝てた顔を見られてた、恥ずかしい………………

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