白鳥の歌
@Ak_i
第1話
「で、で、では、君は人生は生きるに値(あたい)しないと言うんだね?我々人類は、か、過去も、現在も、また未来も、それはすべて灰色の霧に包まれおり、これから抜け出すことは不可能だ、と」
知的な顔立ちの青白い青年は、こくりとうなずきました。
「人と人は互いを苦しめ合わずに存在することはできない。それがどのような形であれ、互いに血を流し合うのを宿命づけられているのだ。」
「そ、そ、そんなことがあるもんか!人は仲良く手を取り合って生きていかなくてはならないし、それができる!人類はそんなにバカではない。」
大男はすっかり興奮して腕を風車のように振り回し「たとえ昔や今がだめでも、人間には明日がある、少しずつ進歩している」と言いました。
疲れたような表情の青白い青年は、大男が黙るまでじっと聞いていました。その眼は暗くて、そして、冷ややかと言っていいほどでした。彼は落ち着いていて、けっして大男のように取り乱しませんでした。
やがて大男の息が切れて口をつぐむと、青年はここぞとばかりに鮮やかに自分の考えを話し始めました。
大男は、とにかく頭に血がのぼるらしく、「いやはや」とか、「断じてそんなことは」とかわめき続けていました。
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