概要
「その日、僕は、声を売った」
「あなたの声、高く買います。」駆け出しの声優が、恋人へのクリスマスプレゼントを選んで街を彷徨っていたとき、笑顔の素敵なセールスマンに声をかけられた。何の冗談かと思ったが、大金に釣られて、契約書を交わす。そして、声優にとって、命よりも大事な声を、彼は失った。しかし彼が失ったものはそれだけじゃなかった。仕事も恋人も、人生そのものを失った彼は、契約したサラリーマンを探して、再び街を彷徨う……
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!声を売った声優の話——今、声を出せているのはいったいなぜ?
「その日、僕は、声を売った」。インタビュアーに対して人気声優、椿山侘助は語り出す。クリスマスイブの夜、声のセールスマンを名乗る豊年万作に声をかけられた彼。当時はまだ無名で、彼女へのプレゼントを買う金にも困っていた彼は提示された大金と引き換えに自分の声を売ることとしたのだが。そんな不可思議過ぎる話を語り終えた彼は、インタビュアーへ言うのだ。声を失ったはずの自分が今もこうして声を出せている理由を。
声を売った話……ただ語られるだけなら与太話で終わるところを、そうと断じず最後まで語らせる聞き手がいればこそ成立する物語構造、魅力的ですよねぇ。言ってみれば読者の視点を預かる主人公=インタビュアーに…続きを読む