第143話 新たな命
母国を瓦礫の山に変えてしまったエルシド王子は父の住んでいる森へと来ていた
「そうか…アレクセイ王子がな…」
「僕はどうすれば…」
「お前が連れて来た女性はどうやら妊娠しているらしいな…しばらくここでゆっくり子育てでもしながら過ごしたらどうだ?」
「そう…ですねって…え?セシリアは妊娠しているのですか?」
「そうだよ…何だ気づいていなかったのか?」
「無我夢中で逃げて来たので…」
「ここは私が闇堕ちしたエルフを集めて作った集落だ…結界も張ってあるから侵入者が来てもわかるようになっている…」
「それなら安心ですね…しばらくお世話になります」
「お前は私の息子だ…遠慮なく過ごすが良い」
こうしてエルシド王子とセシリアは父の作った集落で過ごす事になった
この集落は闇堕ちしたり追放されたエルフを集めて作られていた
皆肌の色が褐色に変化していた
「みんな肌が褐色だから差し詰めダークエルフって感じだな」
まだこの頃はエルフは居たがダークエルフの存在は確認されていなかった
「お?上手い事言うじゃ無いか…ならばここはダークエルフの里だな」
「このまま何もなく過ごせれば良いのだが…」
そしてエルシドとセシリアがダークエルフの里に落ち伸びて5年ほどの月日が流れていった
エルシドとセシリアの間には3人の子供が産まれた
いずれも褐色の肌をしていた
いつのまにかエルシドの肌も褐色に変わっていた
「う〜ん…何故肌の色が変化したのだろう…不思議だ」
「あら私は健康的で素敵だと思うわ」
「そうか?」
「パパ〜遊ぼよ〜」
幸せな日々が続いていた
しかしその幸せを脅かす事件が起きた
ある日、里の外に出ていた仲間が何者かに襲撃されたのだ
「なんて酷い!相手はどんな奴だった?」
「人間の剣士が急に切りつけて来たんです…そしてエルシドさんとセシリアさんの事を聞かれました」
「!!」
「それってまさか…」
「おそらくアレクセイ王子だろう…僕達の居場所を突き止められたようだな」
「どうするのですか?」
「奴の狙いは僕とセシリアだろう…」
「なんてしつこいのかしら…私達は平和に過ごしていたのに…」
「奴にとっては僕らは目の敵だからね…みんなは結界の中から出ないようにしてくれ。僕がアレクセイに会って来るよ」
「危険だわ!」
「そんなの百も承知だ…このままだと里に被害が及ぶ恐れがある…それは避けないと…」
「どうしても行くのか?ならばこれを持って行くが良い」
父から渡されたのは何かの魔法石だった
「その魔法石は一度だけ敵の攻撃を回避する事が出来るものだ…」
「ありがとうございます…では行ってまいります」
「エルシド様!」
「子供達を頼むよ」
エルシドはアレクセイと対峙する為に里の外にある小高い丘に向かった
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