第47話「ネットの女」

…私たちはのんびりと妙子ちゃんの家にいた


妙子ちゃんが住むこの家。なんともたまらない香りがしてとても良い


いつの間にか私たち6人はそれぞれの恋人同士にひっついている。それも良い眺めだ


私は妙子ちゃんと。雅先輩は桃子先輩と。そして美優ちゃんは渚ちゃんと。素敵な光景であった


ふふ、私たちは本当に仲良しグループだし最近入部してくれた渚ちゃんは美優ちゃんと一緒になったからいいね


「そういえば渚ちゃんは美優ちゃんと付き合ってどこか変わった?」


「うーん。まず配信で女の子と付き合ってますってカミングアウト?したことあるよ」


え?もうしてしまったのか


「…大丈夫それ?」


「いえ…むしろチャンネル登録物凄い増えたしつぶやきマンでもフォロワー増えてなんとなく嬉しかったよ」


世の中の男性、または女性は百合が好きなのかしら


「アタシも実は渚の配信に少し参加したんだが、声が姉御肌っぽくていい!なんて感想もらったぜ」


いやー…世の中わからない


「でももう決めたから。美優ちゃんと一緒にいるって。だってこんな素敵なパートナーはどこにもいないから」


もう未来が決まったカップルはとても幸せになれそうだ。もちろん私も。先輩も


「うふふ。なんとも幸せそうです」


「…ウチも何か配信でもしようかしら」


妙子ちゃん?ちょっと妙子ちゃんはやや暗めなトーンが多いからダメよ?


「まあでもこれ以上渚には怖い目に合わせたくないからな」


「守るのは大切よ。しっかり守って」


雅先輩は美優ちゃんに向けて言う


「うす!…あ、そういえばオカルトなのかよくわからない話、します?」


オカルトだけどそうでもない?なんだろ?


「実は…前に『あ』ってやつとよく似てるんですけど…オタクだからと言ってちやほやされてる気味悪い女がいるんです」


そういう人確かにいる


「『さざみ』って名前なんですが、こいつマジで男性を釣ってきて偉そうにしてたり変な肌の露出して気味悪いっすよ」


「…見せてくれる?」


私たちは美優ちゃんのスマホを見るように取り囲む。美優ちゃんはそのアカウントを見せた


「な…見ろよ。とても気持ち悪い」


それを見るとオタク活動と言ってやけに露出した服を着てアピールしたりご丁寧にもマスクして顔を張ってたりしている


また、顔文字も見る人を不愉快にするであろうものが多く、いいねが多くて拡散も多かった


こいつは一体何がしたいの?という感想。しかもただの質問やつぶやきでいいねが物凄い来たりしてほんと見るものを不愉快にさせるものが多かった


前に『あ』という批判系アカウントがあったがあれはいいとしてこうしてまた問題児が出てきたら胸糞悪い話であった


「何よ…フォロー100ぐらいなくせしてフォロワー10000弱とか…」


「そこが気持ち悪いってやつだよ。なんだよぴえんとか言う顔文字。ガチ気持ち悪い」


ざっと見ても全員が不愉快になりそうなつぶやきだらけだ。でも桃子先輩は真面目な顔つきなのがわかる


「桃子。貴女なら何かわかるでしょ?ネットに詳しい父がいるんだから」


桃子先輩の恋人雅先輩は言う。そして桃子先輩は口を開く


「まず…この人は男性を釣ってるというのは確かです。彼氏、旦那に可愛いといわれて自信持っているか知りませんですけど」


「こいるにそういう情報あったかな…?」


「いえ、わかりません。自信があるのなら顔を載せたりすることはあるでしょう。ネットならなんでも誤魔化しなんていくらでもできますから」


確かにそうだ。ネット上なら何しても加工が可能だ


「実はこういうつぶやきマンで顔晒すのは危険なんですけどね。場所特定が可能なので。調子に乗れば、なおさらです」


桃子先輩はみんなに向けて言った


「問題は…前の『あ』と一緒です。信者がいると思います。ただ可愛いからと言って守る人がいると思います」


うわあ~。またか


「私もファンになってくれる人いますけど、熱狂的な人ってことでしょうか?」


渚ちゃんは不安そうに言う


「Vチューバーの渚さんならそこまで暴力なファンはいないとは思います。例えば個人勢なら。でも、この人は違うと思います」


そこで桃子先輩はもう一回そのページを見る


「失礼に言うと頭の弱くて美女に弱すぎるというファンがいるからです。やればやるほどどんどん多くなっていく。男性なら特に」


やっぱり男性はダメだね。でもお兄ちゃんは凄いしっかりとした人だからいいけどね


「もうこいつのつぶやき見たくないわ…プロフィールからして犬系女ですぴえんとかマジ殴りたくなってきたわ」


雅先輩は静かに怒る。私もその一人です


「マジで特定されて天罰食らわないかな…もういいや開くの止めておこう。腹が立つ」


美優ちゃんはスマホを閉まった


「オタク趣味を持つ女というのは確実に男が寄ってきます。そして信者が出ます。そういうものです」


「うん…もし霊的なオカルトだったらウチも言えるけど今回ばかりは桃子に任せる他ないわね」


さすが桃子先輩だ。IT企業の代表取締役の父がいるだけある。しかもネットに強い


「ま、あとは罰当たりが食らうのを待つか!みんな、またイチャイチャ始めようぜ」


「もう美優ちゃんったら」


あははと美優ちゃんと渚ちゃんは笑う


でも、桃子先輩は少し考えている様子だった。あまり納得していないのだろうか?



こうして時間は過ぎていく


ちょっとした謎を残して


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