第46話「みんなで談話」

「どうぞ」


私たちは妙子ちゃんの部屋におじゃました


いつもオカルト部として部活動してきたけど、たまにこういう安息も大切だ。というか広い部屋だった


もちろん呪物のようなものは無く、可愛らしい女の子の部屋。と言った感じ


私と雅先輩と桃子先輩と美優ちゃんと渚ちゃんでも十分入れる空間。横になっても普通に寝られるだろう


「いやあ!妙子先輩の部屋くそみたいにでかいっす!」


「美優ちゃん、くそっていう表現よくない」


渚ちゃんは指摘する


「私なんかその半分の部屋なのよ」


「わたくしも実はそこまで大きい部屋じゃないんです」


雅先輩と桃子先輩は言う。まあ私もそんな大きい部屋じゃないけどね


「…ふふ、お座敷用意するわね」


私たちは部屋の中心部分にお座敷に座る。全員正座。でも美優ちゃんはあぐら。育ちの違いか…


「先輩。今日はお母さんいるんすか?」


「ううん。今日はママは仕事。でもパパがいたはず」


辰子さんから言われたあのお父さんか


そう思っているとドアのノックが聞こえた。開くとそこには妙子ちゃんのパパがいた


「パパ」


「やあみんな。ジュース、もってきたぞ」


もちろん人数ぶんのコップを用意してくれた


妙子ちゃんのパパは丁寧に一人ずつ置いてくれる


「今日仕事じゃないんですね?」


私は言う。前聞いたときは休日出勤の多いお父さんだと聞いた


「ああ。もう休日に仕事をするの止めて残業もほどほどにした。何せママが稼いでいるからな」


笑顔で言うお父さん。そうだったのか


「ゆっくりしてくれ。俺は自室で作業してるからな」


…と、言ってお父さんは去った。というか仕事なんじゃ…


「相変わらずのパパ。仕事熱心なのはいいけどウチみたく入院しないといいけど」


そうよね…。疲労入院というのがあるからね…


「私たちはカップルで構成された部活動だもんね。妙子ちゃん」


「ええ…。オカルト部とは言えど、みんな絆は強い…」


そう言うと全員がにやにやする


「じゃ!これからも桃子とは一緒にいるわね!」


「アタシもそうです。渚をずっと守ってやるからな」


その通りだろうね…


「思ったんですが先輩たち、アタシら…何かしらの怪奇現象にはあってるんすよね」


「ええ。ウチでも入院のときにあったからね」


うん?そうだっけ…あ、思い出した


「そうなんすか?アタシ知らないです」


「実はね…」


とりあえず妙子ちゃんは入院してたときのことを知らない美優ちゃんと渚ちゃんに教えた。確かにそれ聞いたわ


「へえ~!病院でそれっすか!」


「なんとも怖い話ですね。でも霊感がある先輩のほうが勝ったんですね」


「まあ…ママの助力もあったからね…」


少し喉乾いたのか妙子ちゃんはジュースを飲む


「アタシ、公衆電話で怪奇現象あったときはほんと怖かったっす」


「美優ちゃん、私なんか怪奇現象起こるわ人間の襲撃もあって大変なんだよ」


一番大変なのは間違いなく渚ちゃんね


「だから…美優、恋人になったからしっかり守ってね。ウチらがいない場合はね」


「それはもう!肝に銘じています!」


美優ちゃんは胸をどんと叩く


「頼もしいボディーガードがいて私は安心だよ」


この2人はずっと安心だろう


「怪奇現象…そうだ。私、中学校のころの友人から聞いたオカルトがあるの」


ん?雅先輩は言った


「どんなことですか?」


「今から話すわね」



その友人。まあ仮の名前としてB子なんて呼ぶかしらね。別に本名でもいいけど


B子、その時は夜一人だったのよ。親が旅行でだれもいなくて。もちろん彼女は一人っ子だから


親がいない嬉しさにお菓子食べたりテレビばかり見てたり。楽しんでいたの


時刻は0時回ったとこ。さすがに眠たくなったのか自室に行って寝ようとしたのよ。ここまではいいの


ある時ちょっと目覚めたの時刻は3時。もちろん深夜を回った時間


ああそうだトイレに行かないと。と思ってB子はパジャマのままトイレに向かった


トイレを済ませたらまた寝ようと思ったの。そしたら突然インターホンが鳴ったわ


びくっとしたわね。当然よね。でも、確認せざるを得ない感じだった。彼女はモニターを見る


でも、誰もいない。言っておくけどここはマンションの高い場所。こんな時間に鳴るなんて思っていなかったわ


気のせい?それとも幻聴?でも幻聴としてもしっかり聞こえていた。それが不気味に思った


しかし、モニターを見ているのにインターホンは鳴る。しかも誰もいないときに


おまけに。ガチャガチャ!という音がした。玄関に行きたくても怖くて行けないの


どんどんどん!ガチャガチャ!ピンポーン!どんどん音が大きくなる。まるで金縛りにあったかのような体になったのよ


ただ、突然シーンとなった。あれ?どうしたのかな。と思ったらしいわ。とりあえず玄関に向かう


確かに音は無くなった。でも、まだいるのでは?ここは好奇心があったのかしらね。玄関を開けてしまったのよ


施錠を解除してドアを開ける。すると何もない静かな空間があっただけだった


ああよかった。でも、彼女は振り返ってみてしまったの。ドアの後ろから化け物のような物体を


B子は悲鳴をあげた。そこでB子は気絶してしまったの…


翌朝。気絶してたB子は新聞配達の人に起こしてもらったわ。なんでもドア開けっ放しで寝転んでいたから


結局あれはなんだったのか。親にも、誰にも伝えられずに隠してた出来事だった


私は霊感あるからこのことを教えてもらったわ。一体なんだったのかって



「…うわあ~。ベターだけど怖い」


「シンプルに怖いですね」


雅先輩の話は終わった。なんだそれ?とは思った


「…霊っていうのはね。見境がないのよ。誰かを恐怖にさせる悪い霊もいるの」


妙子ちゃんは冷静に言う


「こわ…そうだったのね」


雅先輩は妙子ちゃんの顔を見て言う


「別にいわくつきの部屋じゃないんでしょ?」


「うん。その話はないわ」


そうだったのか。でも厄介な話だ


「また来たらいつでも言ってちょうだい。ウチかママに言うから」


「ええ。でも昔のことだから今はないらしいわ」



怖い話


たくさんあるのね





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る