第23話 手加減はなしだ


 閃輝尖鋭弾!


 ガシャ。骨が砕けたような鈍い音が響く。


 男の体のバランスが崩れて、動きが一瞬止まった。

 その瞬間、ボクは残された左手に渾身の力を込めて、男の体を突き飛ばす。


 男とボクの間に少しだけ距離ができた。


 ボクはすぐに逃げたいと思った。

 でも両足がやられて動けない。 

 手も足も出ない。文字通りの意味で。


 一方、男は自分の身に何が起きたのか理解できてないようだ。

 まさかボクが攻撃するとは思ってなかったのだろう。


 閃輝の命中した場所を押さえて、困惑している。

 致命傷には至っていない。

 でも、確実に効いている。 


 だったら……。


 ボクは更に念じる。

 閃輝を集め、鋭尖弾を作り出した。

 脳がハイになって、今まで制御していた心のリミッターが外れたからか、今までの何倍もの量の閃輝が集まってくる。

 やってやる。

 手加減はなしだ。


 くらえ! 


 錬成した無数の閃輝鋭尖弾を男めがけてボクは放った。

 光の弾丸は男の体を貫き、ふっと飛ばした。

 男の体は車に激突すると地面に向かってうつ伏せに倒れた。


 ◆◆


 やったか?


 男の体をみる。

 男の体からキラキラとした光が漏れ出している。

 女と同じ現象が起きている。


 勝ったのか? 

 ざまぁみろ。死ぬ前に最後に一矢報いてやった。

 

 強い達成感が体を包んだ。

 でも、その達成感こそが最大の罠だった。


 男が起き上がり、ボクに向かって突進してきた。

 油断した。

 男が再度、馬乗りになる。

 

 ボクはもう、力は使い果たしていた。

 これ以上なにもできない。


 もうだめだ。ボクは死ぬのか?


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