「マーマレード」におそわれた!

「うーん?なんだろこれ」

 台所にビンがあった。手にとってながめてみる。なんだかきれいだ。

「ねえママ、これなに?」

「マーマレードよ。」

「ママ?」

「マーマ、レード。」ママは丁寧に発話して教えてくれた。

「そんなことより今日学校は?」

「今日は行きたくないなあ」

「そう。じゃあのんびりママといっしょにパン食べよう」

 そう言うと、ママはマーマレードをパンに塗ってくれた。

 非常にママの味がした。あの、ママの肌の。

 ああおいしい。夢中で食べていた。

「ママ!ごちそうさま!」

 気づいたらママは居なくなっていた

「マ…マ?」

 ぼくは泣き出していた。ただひたすらに泣いていた。ママはどこへ行ったのだろうか?

 ママを探しに棚の下を覗いたが居ない。

 考えられるママの居場所は一つ。

 そう、ママはぼくのお腹の中に…

「うわあああああん!!!」激しく泣くしかなかった。

「ケンちゃん、泣かないで。ママはここに居るわ」

「…え?」

 ぽとぽとと落ちる涙から声が聞こえてきた。

「え、ママ…?」

「そうよ、ママよ」

 ぼくは頬を流れる涙を一生懸命にすくおうとした。

「ママああああ!!!」

「カズキ、大丈夫よ。しっかりして。」

「どうして、どうしてこうなっちゃったのおおっ!!」

「カズキ、これは運命よ。どうしてとかじゃないの。」

「カズキ、よく聞いて。これからはしっかり一人で生きていくのよ。パパはさっきかっぱ巻きになったって電話で言ってたわ。」

「ママ、でもぼく」

「カズキ」

 声が聞こえなくなり、ママは蒸発してしまっていた。


 ぼくはいちごジャムをお家に迎えることにした。

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