#344 吠えるひまわり

「……何これ」

 と、俺の家に遊びにきた三枝は言った。

 三枝の視線の先にあるのは、一輪のひまわり。

「何って、ひまわりだけど」

「それは見ればわかる。いや、ギリひまわりだってわかる。けど、これは俺の知っているひまわりじゃない」

 そうは言うが、三枝が指差してるそれを“ひまわり”以外になんと言えばいいのか。丸い顔、それを囲う黄色の花びら。伸びる緑の葉と茎。

「どこからどう見ても“ひまわり”だ」

「どこから!? どう見ても!? これの! どこか!? 茎が手足のように見えるこれを!? なんかタネが落ちて口のように見えるこれのどこが!?」

「なんだ。おまえ“吠えるひまわり”知らないのか?」

「え? 何それ知らない」

「結構いいぞ。朝起きたい時刻をセットして、その時間になったら吠えてくれるんだ。起きようとしなかったら、噛みついてくる。なかなかにスリリングだ」

「……もしかして、お前の右耳の怪我って」

「ああ。昨日起きれなくて、ガブっと行かれた。枕が真っ赤に染まったよ」

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