#133 忘却

「………………」


 俺はしばらくの間呆然としていた。

 何か。何かとてつもない経験をしたはずなのに、それが思い出せない。こんなに汗をかいているのに、息も乱れているのに、何も思い出せない。


「……なんだ、俺は一体何を見たんだ」


 思い出せない。

 何か、何かあったのに……どうして……思い出せないんだ。

 どうして「夢」というのは起きた瞬間に忘れてしますのだろう。

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