#126 終焉

「…………」


 私は今。

 とてつもない絶望に苛まれている。

 ちらっと、横目で時計を見る。

 デジタル時計には『22:00』と表示されている。

 つまりあと二時間で今日が終わる。5月7日が終わる。


「……ゴールデンウィークが終わってしまうっ」


 私は顔を両手で覆った。

 悲しい。有給を使い、4月29日から始まったゴールデンウィークが終わってしまう。おかしいではないか。今年は9日間あったんだぞ? 9日間。アレコレと好きなことができる時間があったのだ。

 それなのにそれがもう終わってしまう。

 明日からまた憂鬱な仕事が始まってしまう。上司と仕事先の顔色を伺う日々。成果に追われ、社会の歯車に戻ってしまう日々。

 いやだ。いやだ。いやだ。なんで仕事の時間は無限に感じるくせに、休みはあっという間なのか。

 おかしいではないか。おかしいではないか。おかしいではないか。

 ああ……憂鬱だ。行きたくない、動きたくない。このまま明日なんて来てほしくない。

 けれど、残念かな。この世界にアニメや漫画のような出来事は存在しない。現実は現実。面白みも、劇的な運命も、物語も何も存在しない。あるのは変哲もなく流れていく私の人生だけ。


「……あー、会社爆発しないかな」


 なんて言ってみる。

 言ってみるだけ。

 言ってみるだけで、現実にはならない。


「……決めた。私は絶対、来世は金持ちに飼われる犬か猫になる」


 そうと決めたら、来世が良くなるように今世を生きよう。

 とにかく今日は寝て、明日の仕事を乗り切る。そうしよう。

 神様、そしたら絶対に私の来世、良いことにしてくださいね!

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