#88 サイレント勝負























「──ちょっと待った」

「はーい、音出したからお前の負け」

「いや、そうじゃない。一つ聞きたいんだけどさ」

「何?」

「今やってる勝負って、音を立てない変顔勝負じゃん?」

「そうだけど」

「俺たちがいるのは小説の世界じゃん?」

「どうした急にメタいこと言い出して」

「だから、小説の世界だから。漫画の世界じゃない。つまり、俺たちが静かに変顔しても、見てる人たちには何にもわからないんだよ」

「…………」

「だからこの勝負無意味じゃない?」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「……やめるか。不毛すぎる」

「やめるか」

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