#72 一日の始まり

 私の一日の始まりはコーヒーを淹れるところから始まる。

 仕事の前の一杯。

 目を覚ますための一杯。

 理由なんて様々だ。なんで初めたのかなんて、もうとっくに忘れている。初めはペットボトルだった気もするし、そこからインスタントコーヒー、粉コーヒー、そして今じゃ自分でコーヒー豆を挽くところまで来ている。

 お湯の回し入れも手慣れたものだ。

 いい香りが漂い始める。

 砂糖、ミルクは使わない。出来立てのコーヒーを飲みながら、新聞に目を通す。

 おお、シャトルはいよいよ太陽系を超えたか時の記事。これで宇宙の外へ可能性が広がったんだよな。懐かしい。

 お、こっちは『世界平和条約』が締結された日じゃねえか。戦争が一切なくなったんだよな。

 ああ、やっぱりこうして定期的に読み返さないと、どこの時間で何があったか忘れてしまうな。

 長生きはいいが、あまりに長すぎるとそれはそれで生きるのも大変だ。

 あ、そうだ。今日で私が稼働し始めてちょうど100年だから、メンテナンスに行かないとか。ふむ、時間はまだある。なら、コーヒーを楽しむとするか。

 しかし、『ニンゲン』はこの液体の何を楽しんでいたんだ?

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