#67 ロシアンルーレット
ロシアンルーレットとは、回転式拳銃に一発だけ実包を装填。適当にシリンダーを回転させてから自分のこめかみに向け引き金を引く死のゲームである。
もしくは、一つだけハズレの入ったクジを引き、運悪くハズレを引いてしまった人物に罰ゲームを与えると言ったゲーム。
後者は『死』の要素をなくし、バラエティ方面に特化させたものだ。
「と、いうわけで早速やっていこうか。今回用意したのは八個のシュークリーム。七個はカスタードクリームが入っているが、一つは毒入りだ。私と交互に食べていき、毒入りのシュークリームを食べてしまった方が負け。毒はそれほど強力ではないから、すぐには死なない。じっくりとじわじわ蝕んでいくものさ」
愉快に、それはもうとても愉快にメガネ男は言った。そこに『死』に対する恐怖心はまったく見えない。自分も死亡する可能性があるというに、男はとても楽しそうだった。
反対に男の前に座るスーツ姿の男は恐怖で大粒の汗をかいている。
「それと、シュークリームに飽きないようにコーヒーも用意した。砂糖とミルクは必要かな?」
「……そんなものは、いらない」
「コーヒー自体がいらないのかい?」
「さっさと始めよう……私はこんなところで死ぬわけにはいかないのだ」
スーツ男は汗をかきつつも、力強く宣言した。まるで恐怖心に打ち勝とうとしているように見える。
そんなスーツ男を見て、メガネ男はより一層笑みを深くする。
「ん、それじゃあ始めようか。先行は僕からいこうかな」
そう言って、メガネ男はコーヒーを一口飲む。
そして、一つシュークリームを手に取ると、かぶりついた。
咀嚼を繰り返し、飲み込む。
「うん、美味しい。さ、次は君だ」
スーツ男は震える手を押さえて、一つ手にとる。
それを手元に引き寄せ、意を決して食べる。
「…………毒入り、ではないようだな」
「おおー、運がいいね。それじゃ僕だ」
そしてメガネ男が次のシュークリームを手に取る。
メガネ男から始まったロシアンルーレットは四往復行われた。空になった皿。
その瞬間、スーツ男の顔が驚愕と恐怖に染まる。
「な、なぜだ! このゲームは、俺の勝ちのは──」
どたん、とスーツ男が倒れる。
泡を拭き、目を白黒させ、喘ぐように呼吸を繰り返す。
数秒後、スーツ男の体は動かなくなった。
メガネ男は最後にコーヒーを飲み干し、
「うん、コーヒーは美味しいね」
と言った。
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