#66 ミカタ
「『ミカタ』を変えるんです」
「ミカタ?」
僕の言葉に着物姿の男は「そうです」と言った。
「『ミカタ』を変えれば、あなたの世界は変わる。今まで見えていたもの、見えていなかったもの、それがマルっと入れ替わる」
ここは、とあるオフィスの一部屋だ。
僕は『ある事』を解決したくて、このオフィスにやってきた。大学で広まっているある『噂』からここの存在を知った。何でもさまざまなことを解決してくれるらしい。曰く付きの怪しい話から、何でもない日常の話まで。そしてここにやってきた僕を、目の前の男性は丁寧に迎え入れてくれた。
目の前にいる20代前半に見える着物姿の男性は、優しそうな笑みを浮かべながら僕の話を聞いてくれた。
「人生は色々あります。苦楽、山あり谷ありとはよく言ったものです。ですが、それらは結局、自身の『ミカタ』次第なんです。『ミカタ』を少し変える。『ミカタ』を大きく変える。そうすれば、あなたの問題は解決するでしょう」
「ありがとうございます。『ミカタ』……考えたこともなかった」
男性の話に僕は納得した。
すぐに僕は行動に移した。男性にお礼と相談料を支払い、オフィスを後にする。
よし、これなら行けるぞ。僕はそう思いながら大学へと向かった。
☆★☆★☆★
「さーて、僕もお仕事に入りますか」
着物姿の男は、軽薄な笑みを浮かべて、窓から先ほどの大学生の姿を見送る。
「彼は『味方』を変えるのか、それとも『見方』を変えるのか。どっちとも取れるように誘導しましたが、彼はどっちに捉えましたかね〜。どっちを取るかで、その先の『答え』が大きく変わりますから」
「……相変わらずな趣味」
オフィスの扉近くに立つ、ポニーテールが特徴の少女・古美菜那津は怪訝な顔で男を見た。
「だって、そうでもしないと人生を楽しくできませんから。さ、行きますよ。目的地はもちろん、彼の通う学校です」
軽薄な着物姿の男は、準備を整えるとオフィスから外に出るのだった。
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