#60 現代ヒーローの悩み・其の二
現代ヒーローの悩みは多い。
以前、現代ヒーローの悩みの一つとして『変身のタイミング』を挙げた。今や町中に監視カメラが設置され、人々の持つスマートフォンですら容易に動画を撮影できる時代た。物陰に隠れて変身するのが至難の業となりつつある今日この頃。
実はもう一つ。現代ヒーローを悩ませている問題がある。
それは何か。
『ストーキング』だ。
『秘密』とは暴きたくなるのが人の性。
それは本来隠さなければならないヒーローの正体すらも対象だ。もしヒーローの正体は暴かれたら、それは『大変』と言う安易な2文字では済まされないことになるだろう。
今の時代『ヒーロー』はある種の抑止力なのだ。誰しも正体を『知らない』からこそ、突然発生したものだと認知される。知らないからこそ、いつ現れるかわからない。わからないから、悪事を働こうとするとヒーローの姿が連想される。
このように、知らないからこそ抑止できることがあるのだ。
もし正体がバレでもしたら、抑止力が一気になくなる。単純なことだ。正体を知っているなら、その正体であるモノに気をつければいい。『正体』が暮らしている町より遠いとこ。『正体』はいま手の離せないことをしている。今行動すれば到着は確実に遅れる。
このような、わかっていると予測できてしまうのだ。
私の正体がバレれば、私のプライベートだけではなく平和そのものに影響が出てくる。
それなのに、人々は私の正体を暴こうと必死だ。この前は救ったはずの女性にGPSをつけられた。
犬の嗅覚を使って、私の匂いを追いかける人物だっていた。
さらには、私のDNAを奪おうとする輩もいる。一般人で、だ。
まったく、これでは人助けをする気力すら奪われていく。
いいかい。確かに私は正義感が強いと幼い頃から言われてきた。だからこうして超人的力を手にしても、悪用せず正義のために使っている。
それでも、私だって人間だ。嫌なことがあれば気が滅入ってしまう時もある。
だから、だ。
「一回ぐらい、ヒーローを休んでもいいよな」
そんなことを、つい、自室でつぶやいてしまうのだ。
私の正体を知ろうとする人間を、抑止力の私を消そうとする人間を、果たして助ける理由があるのだろうか。
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