第1話 出会い
【魔女視点】
森全体に
たまに、森へ侵入してくる人間どもがいる。
「
てめぇらからうちらを
人間様は、そんなにお偉いんですかぁ?
ふざけやがって、ぶっ殺してやる。
楽には死なせてやらねぇから、覚悟しろや。
魔の者の
赤いローブを身にまとい、魔女の仮面を着けた。
これが「森の魔女」と呼ばれる
あらかじめ言っておくが、オレは男だ。
ちなみにこの仮面は、オレのお手製。
目の部分にハメ込まれた赤い
結界の反応があった場所へ、確認に行ってみると。
そこにいたのは、人間の
なんか、見るからに
全身真っ黒に汚れていて、ガリガリに
なんだ、
おおかた、親とはぐれて歩き回っているうちに森に迷い込んだんだべ。
いくら相手が人間でも、こんなちっぽけな命を
こういう時は、
オレは木の
「人間の子よ、ここはお前がいるべきところではない。お前の場所へ帰るが良い」
「……まじょ……」
こんな
すっかり
その場に落ちてた
「あっちへ向かって歩いて行け、人間の街へ戻れる。もう二度と、戻って来るな」
それだけ教えると、用済みとばかりにローブをひるがえして、素早く
しばらく様子を
もう二度と、会うこともねぇべ。
――と、思っていた時期が、僕にもありました。
もしかすると、「運命」だったのかもな。
「ついでだから、寄ってくべ」っつって、いつもは行かない泉へ向かった。
なんでか、自然と足が泉へ向いてたのよね。
泉のすぐ側に、
「人間がゴミを
良く見れば、うつ伏せに倒れた
あれ? なんでこんなとこにいんのよ?
教えてやった道と、全然違うとこに来てんじゃねぇか。
ひょっとして、
だから、迷子になんだよ。
あんまし、人間とは関わりたくねぇんだけど。
ここで
仕方ねぇ、助けてやるか。
「おい、起きろや」
チョンチョンと、指で
「おいってば」
今度は、背に手を当ててゆすってみたが、これも反応なし。
いくら動かしても、目を開かない。
なんだ、ホントに
せっかく
さっきまで、生きてたじゃねぇか。
自分の足で立ってたし、話しもした。
別れて、ほんの数分だぞ。
なのに、もう死んだの……。
こんな、
そうか、
もしかしたら、貧しさゆえに
死ぬと分かっていれば、もう少し優しくしてやれば良かった。
せめて、
すると、
「お?」
赤ちゃんみてぇに吸われて、
生き返った、いや、オレが死んだと
どうやら、よほど
すぐ目の前に水があるのに、
マヌケなヤツ。
「分かった分かった、やるから」
大量に飲ませるとむせるから、ちょっとずつ。
「もっともっと」とばかりに、すがってくる。
なんか、
何度もくり返し水を与えたら、ずっと閉じていた
その美しい目に
すると
何これ、
気が付くとオレはデレデレの笑顔になっていて、
なんとなく話してみたくなって、口を開く。
「お前、
自然と、優しい声色で話し掛けている自分に驚いた。
「パパとママ、おうち」
「そっか、おうちにいんのか。場所は、どこだ? 送ってってやる」
「すてられちゃったから、おうち、かえれないの」
迷子じゃなくて、捨て子だったのか。
だから、こんなに
こんなに
「お前、名前は?」
まさか、コイツの親は名前すら付けてやってねぇのか?
名前ってのは、個人を特定する大事なもんじゃねぇの?
愛する我が子に名前を付けるのは、親の権利であり、義務だろうが。
こんな
これだから、人間は……。
「
「え?」
そりゃ、見ず知らずの男に、突然「拾ってやる」なんて言われりゃ、驚くわな。
捨て犬や捨て猫じゃ、あるまいに。
でも、欲しいと思ったんだ。
可哀想な
そう、思ったんだ。
オレは、出来る限り優しく笑い掛ける。
「
「いやじゃないでしゅ! ひろってくだしゃいっ!」
嫌じゃないと言ってくれて、オレは胸がほっこりと温かくなった。
「よし。今からお前は、オレの子だ」
「はい!」
ああ、なんて
名前は……、まぁ、あとで考えればいいか。
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