か弱な僕は筋肉世界に転生しました?!

帆影時雨

ひどい始まり

まずい…このままだと死んでしまう。

フラフラと遠のきそうな意識を確かにしながら、かじかんだ足で地面を踏みしめる。

ここ2日くらいパン一切れすら食べれていない‥

行く宛もなくさまよい続けて2ヶ月。つまり僕はホームレス。

会社が倒産し、借金だらけ。どうしたらいいのか。

食べる物も無い…

そして僕は気を失った。


――――

「ちょっと、そこにいる君、どきなさい。もう営業時間は終了したよ。」

目が覚めると何やらどこかの店の中にいた。

新築のような木の匂いがする室内で、ポカポカしていた。

え…でも僕路地裏で倒れたはず…

「ちょっと君、聞いてるの??」

「え…あすみませんお巡りさん!」

「お巡りさんって何だい?」

僕の目の前にはよくお世話になったお巡りさんではなく、ゴツい感じのおばさんがいた。

「えと…ここはどこですか?」

「はあ、まったくボケてんのかい?ここはマッスル雑貨の中でもう閉店の時間だ」

「……は?」

「ほら、どきな」

「あ、えあ…すみません?」


ちくしょう、なんなんだよここは。

周りを歩く人は何かムキムキマッチョばっかだし、俺はジロジロ見られるわ、店の外観は赤や橙色でド派手で暑苦しいし。


「とりあえず、宿泊まるか」

そう呟いてどこか比較的無難な赤茶の宿屋に入った。

「らっしゃい、ほら筋肉レベル見せてみ」

「なにを、おっしゃってんのですか」

「おや、旅人さんかな?」

「まあ、そんなとこです」

「この国、リーゼル国は筋肉によってレベル分けがされている。」

そう言って宿屋のマッチョおじさんが機械を取り出した。

「手ぇあげろや」

「は、は、はいっ!!すみませんっ」……怖っわ

そう言われ、スキャナーみたいな機械をお腹に当てられた。

「レベル1。致命傷だな」

「それって、どうなるんですか?」

「宿代1泊が金貨10枚になる。ちなみにレベル0がタコレベルだ」

「…………」

「ちゅうわけで、金貨10枚」おじさんが目の前にゴツい手を差し出してくる。

ボロズボンのポケットに手を突っ込んでありもしない金貨を探す。

その途端なにかが指先に触れた。それを取り出してみると、

あらまかわいいどんぐり♡

「あは、これしかないです」

「なめてんのかおまえ」

マッチョおじさん怖っ

「親父ー、店番変わるぞ」受付の奥から茶髪で日に焼けたパッと見10代後半くらいの女の子が出てきた。

「お、にーちゃんヒョロガリだ」

人差し指でツンと腹筋(ほぼない)を触ってくる。やめろ。

「アルシェ、こいつは旅人らしい。まあ金ないし何も出来ないが」

―はい。オワタ。あと僕、食料もなくね?

とりま、寝床だけでも…

「あの一泊だけでも泊めてくれませんかね、その分のお金は稼いであとで払うんで」

「初対面のやつを信用しろと?ハッ」

鼻で笑われた。

「親父、こいつを宿屋で働かせれば良いんじゃね?人手少ねぇし」アルシェと呼ばれた女の子がチラと僕を見る。

「働きます!働きますので!ブラックでも喜んで!ついでに衣食住の提供を!」全身全霊でマッチョおじさんに土下座した。

「ほお、威勢の良いもんだ、じゃ働け」


ここから僕の地獄の人生 in筋肉世界(リーゼル国?)が始まった。

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か弱な僕は筋肉世界に転生しました?! 帆影時雨 @utatanepurin

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