第6節 初夏

土手の一本の露草が、

初夏のまばゆい太陽に照らされて

一滴の雨雫を落とした。

虫たちの鳴き声をそよ風が遮り、草のしなり擦れる音のみ、時は上辺を流れていく。

一匹のコオロギが、露草の一滴をじっと見つめていた。

もう一滴。

雨雫は下草に、大地に消えていく、その様を。

一瞬、影に覆われ、コオロギは天に掴まれた。

もし我らの目的が生きることなら、

いずれ雨雫と落ちて消えるだろう。

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