第4話 タスケテクダサイ


前回の続き


「では、行ってらっしゃい」


「んぁ?」パチッ─────

ナスが指を鳴らすと同時に私は魔王城にいた

パジャマ姿の上、歯ブラシを持っている余りにも威厳のない姿で────


「アノコハホントウニハナシヲキカナイヨナー」

誰だよ、あのバカにチートスキルを沢山与えるだけ与えて知力を1すら付与しなかった酷い奴は。


「いやっ、そっそそんな事よりこっ・・・心の準備がででできて・・・・」

ダメだ、逃げた職場に来るの凄くキツい、いつもなら何も考えずに歩いていた道がとても険しく辛く見える、どうしよ吐いちゃうかも。


「とっとりあえず武蔵を回収したらすぐ帰る」

頭の中がグチャグチャで考えがまとまらない、それどころか歩くたんびに足が重くなり息を吐くばかりで空気を吸えない。


会いたくない、私は誰にも会いたくない、私は空気、私はモブA、私は壁、私は目立たない、そんな事を考えて歩き始めてからまだ5分しかたっていないと言う事実がたまらなく辛い。


「まっまぁ?なんやかんやでぇ?目的地到着ですよぉ」

私はとても大きな扉を開け、中に入った。


───────────魔王の間───────────


「なっまっ魔王様!?なっなずぇぼびゅ───」

部屋に入って5秒で犠牲者が出た。


「大丈夫、大丈夫、首をトンッと小突いただけ、小突いただけ・・・」

首が180度っているが、きっとこの生物は首が180度回っても大丈夫な種族なんだろう。


「大丈夫か!侵入者か?!・・・まっ魔王様!?なっなずぇぼびゅ───」

2人目の犠牲者が出た、次は気おつけよう、このような被害が増えないために。


「弟2人よ、変な声を出して何があったのだ!・・・まっ魔王様!?なっなずぇぼびゅ───」

きっと生きてる、変な音と首の角度がおかしいだけ。


「だっ大丈夫、私・・我、元魔王だしぃ?きっと手加減できてるし、きっと運も強いはず」


少女隠蔽中.....__


「それにしても、まだそんなに経ってないのに懐かしく感じるもんなんだなー」

そう言う魔王の間は、魔王の座る椅子を除いて他には剣が床に突き刺さっているだけの簡素な作りだ。


「おー、魔剣オール・デリートまだここに刺さっているのか、やっぱり誰も触りたくなくて場所をかえれないのか?」

『 魔剣オール・デリート』効果はシンプル、触れた生物を消滅させる能力で、無敵も蘇生でも意味をなさない(この効果は持ち手の部分でも発動する)。


「懐かしいなー、帝国との戦争の時これを使った戦術『 無慈悲』が決めてとなったんだよなぁ」

『 無慈悲』愛称:これは酷い

魔剣に紐を括り付けて振り回すだけのバカみたいだがバカみたいに戦果を上げた最強戦術、マジで世界を震撼させた。


「そう言えば丁度消したいのが三体いる・・・いや・・・やめておこう」

自分がまだ冷静でいられたことに安堵するしかない。


辞めたからこそ分かるこの気持ち

「私・・実はこの仕事好きだったのかな?・・・・いやぁ?、大っ嫌いだわ」

そう言いながら私は魔王の間から出た。


「あっ、武蔵のこと忘れてた」

その後誰にも会わずに何とか武蔵を見つけ、すぐさま帰宅しようとしたが、いつになっても転移の様子がないので、頑張って歩いて帰りました・・・歩いて。


─────────────自宅────────────


「おいナス、何か言うことは?」


「ごめんなひゃい」

再開と同時に腹に飛び蹴りを食らったナスは未だ悶えながらも謝った。


「魔王よ、俺をこんな所に呼んだ癖に、急にこんな人型にするのはぜだよ?」


「ん?ああ、それはな」


「おっおう、何だよそんな真面目な顔をして」


「それは・・・」


「なっ何だよ・・・」


「家は、ペット禁止だからだ」

何故か武蔵が怒って来たが、別に問題はないだろう、見た目も思ってたのとは違うがかなりいいと思う。


「いや、本当に見た目そうなるのか?」


「いいだろ?この体」

金髪ふわふわロングな髪型、キリッとした目、整った顔で凄く可愛いのだが・・・。


「お前、ロリっ子なのだな」

何故かまた怒られた、理由が分からない、いいだろ?と言ったのならその身長気に入っているんだろ?


「魔王様お忘れですか?」


「おっ、治ったようだな」

そして私は治ったばかりのナスのお腹を思いっきり殴った。


「魔王さー、俺がこの身長な理由マジで分からないのか?」

ジトーっと下から覗き込んでくるロリっ子が何か言ってる。


「わからん!なにかしたか?」


「まっ魔王ざま、武っ武ざじがそっぞの身ぢょうなのはぁ、むっむがじ魔王ざまがぁっ武ざじをボコられだがらで・・・」

今にもキャラ崩壊しそうなナスが必死な顔で伝えようとしている。


「五月蝿いぞ、馬鹿、何を言っているのか全く分からん、ハキハキ喋れ」


「ガハァ」

ナスは良い奴だった、後でいつも大事にしているロボット達と一緒に埋めてやろう。


「魔王、俺の身長が小さいのはな?、俺が頑張って信者を集めてね?、何とか復活したところをね?、滅茶苦茶にしてくれたせいでね?、ここまで弱体化しちゃったんだよ?、魔力足りないの分かる?、俺復活するのに500年もかかったんだぜ?」

凄い、殺気が可視化されている気がする、きっと私しじゃ考えつかないような努力を沢山したのだろう、確か私は武蔵を愛でただけのはずなのだが。


「我が悪いのはわかったから噛み付いてくるな武蔵」

こいつ昔から我慢できなくなると噛んでくる癖どうにかならないのかな?


「武蔵、魔王様が面倒くさそうにしているので離してあげなさい」


「あぁ?黙れよ、オルトそういえばお前あの時俺の事見て笑ってよなぁ?」

オルト?誰だそいつ・・・あっそう言えばナスって本名セレスナ・リ・オルトとか言う名前だったっけ・・・・ナスが笑ってた?!。


「まぁ?面白かったですよ武蔵のやられている姿を見るの、邪神って絶望するんですね」


「おっし死ねやオルト」

まずいぞこのままでは、そんなこと起きようものなら溜まったものでは無い、それだけは阻止しなくては。


「武蔵!」


「何だよ魔王」


「オルト何て変な名前で言うな、ナスと言え凄く紛らわしい」


「OK、わかったかナス畜生」


「よろしい、ならば戦争だ」パチッ────

何処かよく分からないが、戦うには凄く丁度いい場所に来た。


「正直お前とは1回殺り会いたかったんだよ、魔王軍は仲間同士だと戦えないからな」

毎日いざこざを起こしていた奴が何を言うのか。


「いいでしょう、元魔王軍参謀の力を見せてやりましょう」

私、ナスの戦っている所見たことない。


そんなこんなで今にも戦いだしそうな2人を他所に、私はバイトに休みの連絡を入れた。

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