第39話 収録後の帰り道
あの後、愛花が「遥乃様とLINE交換しちゃった…!」と感慨に浸っていたものの、すぐに収まりいつものように2人で帰ることになった。
そこで俺は愛花に今日の一番の目的でもあった話をすることにした。
「ねぇ愛花、今日は楽しかった?」
「うん!当たり前だよ!明くんの収録を生で見れた上に遥乃ちゃんと友達にもなれたし!今日はありがとう!」
「そっか。それなら良かったよ」
「ねっ、ねぇ。明くん」
「どうした?」
このタイミングで愛花にも言いたいことがあるということは十中八九俺と同じような内容の話だろう。
「私ね、明くんが浮気してるって思ってたんだ、付き合ってそんなに経ってないし私より可愛い人だって俳優だから出会っててもおかしくないしとか色々でね」
愛花には未海にも協力してもらってたから知ってるということは言わないでおこう。
「やっぱりか…」
「気づいてたの?」
「なんとなくだけどね、そっから色々確かめてみたりはしたたけど」
「全然気づかなかった…」
「まぁ愛花は分かりやすいしなぁ、ババ抜きとか多分顔に出るタイプだよ」
「ち、違うよ!顔とかには出ないよ!多分だけど」
「まぁ話はそれじゃなくて…」
少し話が脱線しているため、話を戻す。
「実は最近、愛花がいつもと違う気がしてたんだ、だからもしかしたら知らないうちになにかあったのかもと思ったんだ、例えば浮気してるかしたと思われてるとか、最近また仕事が増えてきて一緒にいる時間が減ってるから怒らせちゃった、とか」
明としてはもしこれらの理由なのであれば浮気はともかく、仕事の都合上とはいえ最近はあまり一緒に帰るとかができなかったりした俺が悪いとかも思ったりはしていた。
すると愛花は、
「さっきも言った通り、浮気かもとは思ったよ?でも全然仕事の都合ならむしろ活躍出来てていいなぁとファンからしたら嬉しいからいいんだよ」
と言い、そして少ししてから「未海ちゃんからとっても大事なことを教えてもらったしね!」とも言った。
「大事なこと?」
「そう!とっても大事なこと!皆がそう!とは言えないけど、私の中では1番大事なことだよ!」
少なくとも愛花にとってはいい刺激というと変かもしれないが、なにか変わるきっかけになったのだろう、いつもハチャメチャしてるあいつから出たとは思えないが、今回は感謝だな。
「そっか、なら良かったよ」
「うん!」
「けどさ、やっぱりごめん、例え仕事の都合だからって愛花と一緒になれてなかったのは事実だから、次からはもっと一緒にいる時間を増やすようにするよ、もちろん仕事も頑張るけどね」
「私こそごめんね、明くんだって仕事で頑張ってたのに浮気とか勝手に疑っちゃって…」
これに関しては誰だって疑うこともあるだろう、人にもよるが、何も疑わない人なんてそうそういないだろうし。
「これで晴れて解決だね!」
そう愛花が言い、俺は先程まで考えていたことをやめ、「ああ、そうだな」と言う。すると、
「ねぇねぇ明くん!手繋いでも良いですか?」
と、口調がクラスのときと俺と接するときのものが入り混じっている感じだけども可愛く、言ってきた。俺は悪い方向に行かなくても良かったなと思いつつ、
「勿論、いいよ」
と俺も感情の籠もった、愛花のためにオーラを前回にしてそう言うと、愛花はオタクとしてか恋人としてかはわからないけど、頬を真っ赤に染め上げて「明のバカ」と呼び捨てで呼び、ちょっと申し訳無さを感じながら一緒に帰った。
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