第23話 文化祭の前日

文化祭まで残り数日。衣装の用意や、小道具、大道具の準備は終わっており、残すところ演技をより完璧に仕上げることだけとなった。

俺や愛花を含め、全員が大まかな演技ができるようになった。

一方俺は、しっかりと演技のレベルを落とすことには成功してるみたいで、みんなからは少し演技がうまい人っていう形になった。これでなんとかなりそう。

愛花によるとドラマなどとは演技が全然違かったらしく、さらに一安心できた。

そう思いながら俺は電話をかける。


「もしもし?浜田さん?」

「どうしたの?」

「この前言った文化祭って来れますかね?」

「確か明後日だったわよね?もしあってるなら大丈夫だけど…」

「あの…正体がバレて騒ぎになったらよくないので、退路を用意しとこうかと言いますか、何とかすぎに場から離れられるようにしておこうと...」

「そういうことならわかったわ、私に連絡してくれればなんとかはするわ、でもそうならないようにしなさいよ?」

「それはわかってるつもりなんですけどね...どうしても万が一何かあった時が怖いので」

「それじゃあ、また文化祭の日にね、」


電話が終わってからは今日の課題をして、文化祭の必要なものに不備がなかったか、演技についても考えていると、夜中の2時を過ぎているので、考えるのをやめてから、布団に入った。



――翌日。



今日は土曜日なのだが、最近唯一仕事がある日となっている。夏休み頑張ったおかげだね!

ホントはすっごく遊びたい。普段はこう思わないんだけど、昨日の夜、文化祭の不備について考えているときに、愛花と通話しながらしていたところ、


『明君は明日予定ってあるの?』


俺の正体をバラして以降、愛花は通話や本当に2人しかいない空間...俺の家等では、栄太君ではなく、明君と呼ばれている。俺としては学校とかでボロが出なければなんでもいいので問題ない。


『ごめん愛花、明日はせっかくだし休みたいところではあるけど、仕事が入ってるんだ』

『そっか~最近全然遊べてない気がするなぁ…』

『これでも少ない方だから、最近帰りが早いとかもないでしょ?』

『確かにそうだね!でもなんで?』

『夏休みに大体の時間のかかる撮影は終わってるからね、そのせいで課題が終わらなかったんだけどね…愛花がいなかったら』

『残り1週間であんなに残すのはよくないよ...流石に量が多すぎたかな、大変だったんだから』

『その節はありがとうございました』


とまぁせっかくの愛花の誘いを断ることになってしまったので、少し落ち込み気味となっている今日この頃。

今日の仕事は遥乃と同時期からの演者というゲスト出演でトーク番組に出ることになっている。絶賛気分落胆してるのを戻そうとしていると、


「明さん今日は少し元気がなさそうですがどうしたのですか?」

「実はかくかくしかじかで...」


俺たちが付き合ってるのは浜田さんの勧めで公表はしているものの、愛花や家族たち以外は俺のことを早川栄太だと思っているので、特に問題はない。


「そんなんで落ちこんでるんですか?」

「俺にとっては大事なことだよ!」

「でも明さんの彼女さんって確か明さんの大ファンなんですよね?」

「そうだけど?それがなにかあるのか?」

「だったら彼女にいつもよりいい姿を見せるつもりで出ればいいんですよ!」

「確かに!ありがとう遥乃!すごいやる気がでてきたよ!」

「私とその子では何が違うんだろう…?」

「ん?遥乃、今何か言わなかったか?」

「え?いや、何でもないよ!」


愛花のためならばとやる気がみなぎった今日の仕事はいつもよりすごくよくできてた気がした。明日の文化祭も頑張るぞー!次は文化祭へのやる気が出た。

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