第21話 みんな大好き文化祭!②

次回までに考えが浮かばなかった題名決めの日の帰り道。

俺と愛花は一緒に帰っていた。だって恋人だもんね!

ちなみに仕事はというと、夏休みに撮りまくったおかげで今は土日の撮影で収まっている。ドラマの撮影も夏休みに終わったしね!そのせいで宿題がギリギリになったんだけど...。何日間かは会えないって聞いた時の愛花の顔は破壊力抜群で死ぬかと思

ったのは言うまでもない。


「どうしようか...」

「意外と出てきそうなのにねー」

「そんな楽観的じゃダメな気がするけどね」

「それはそうかも」


家帰ったら探すか…。寝るの遅くなりそ…。あれ?待てよ?


「ねぇ愛花?題名ってさ、の?」

「どういうこと?」

「つまり、誰かが書いちゃえばいいんじゃないかなって」

「たしかに!だけど、それなら探す必要はないかもしれないけど誰が書くの?」


そうなんだよなぁ、書く人がいないんだよなぁ。下手なことすると正体がバレかねないし…。


「私が書いてみようかな...?」

「え?愛花が?」

「じゃあ栄太君?私と言えば?」

「かわいい?」

「えっ!?う、うれしいな...って!そういうことじゃなくて!誰のファンですか?」

「お…いや上野明のファン?」


まぁ俺はファンというよりほぼオタクだと思うけど…。


「別に言い換えなくてもいいのに…まぁつまり、明君が出てるドラマは網羅してるから考えれるし、他の人が出てるやつも結構見てるから書けると思う」

「じゃあ明日皆に相談してみる?たしかファンタジー系でしょ?まあ有名の方がいいのはあるけど、逆にオリジナリティ出ていいかな」

「じゃあ決定だね!帰ったら大体の構想を考えてくるよ!」

「細かくし過ぎないようにな」

「うん!じゃあまた明日!」

「ああ、また明日な」


そういえば学校出るときもめっちゃ視線感じたけど気にしなくなってきたな。

前までなんかめっちゃヤな感じだったんだけど…。



――次の日。


先日のように愛花パワーはすさまじく、一瞬で賛成を得た。今回に関しては最初は何人か嫌な感じしてたけど愛花が大体のストーリー書いたやつ見せたら一瞬でOKなったからな。実際読ませてもらったけどすごく良かったし。

そしてみんなの要望も混ぜていった結果、大まかにすると


「主人公が魔王を倒すために旅に出る」

      ↓

「何人か仲間になる」

      ↓

「協力して魔王を倒す」

      ↓

「認められ王となり、王女と結婚して幸せに暮らす」


というストーリーになり、

配役をしたのだが、途中まではよかった。だが満場一致で王女役となった愛花が、


「あ、私栄太君が主人公じゃなかったら王女役はやらないからね?」


というトンデモ発言をしてきたのである。もちろん彼氏として止めに入ったものの、説得できず、最終的に他のクラスメイト全員から圧のような期待のような眼差しをされ、主人公を俺が演じることになった。どうしてこうなったんだよー!

そうして俺はすぐに電話した。


「浜田さん、かくかくしかじかで…」

「正体バレるかしれないってことでしょ?まぁいいんじゃないかしら」

「え!?」

「むしろバズるかもしれないわよ?」

「本当に俺の事情知ってますよね???」

「でも中学校と高校では周りの心境も変化しているだろうから大丈夫よ」

「それでもしなんかあったら責任取ってくださいよ?」

「もしまたそんな状況になったら何とかするわ」

「絶対なんもしてくれないやつじゃないですか、それ」


なんかすっげぇがしてきた。マジで俺の予感、外れてくれよ…。

はぁ...。大丈夫かな…高校、人生初の文化祭。愛花にも相談してみることにするか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る